鈴木バイオリン製造株式会社 取締役

小野田祐真

Yuma Onoda

成功はアート、失敗はサイエンス

小野田祐真

略歴

1988年生まれ。南山大学経済学部卒業後、トヨタ紡織株式会社に入社。
本社での経理業務を経て、ドイツミュンヘンブランチにて欧州地域のFinancial Coordinatorを担当。
ドイツ系外資企業での経験を経て、2019年より現職。

現在の仕事についた経緯

『ストーリーは3歳の習い事から始まった』
僕の経営者としての原点は、3歳のときに親が持たせてくれたバイオリンです。その楽器が鈴木バイオリン製造が製作したバイオリンでした。その後も鈴木バイオリンを使って技術を習得し、多くの音楽仲間と出会い、バイオリンは僕の人生を言語化するうえで最重要ツールの一つとなりました。
社会人になり、財務のエキスパートとして数々のビジネスの現場に携わり、アンテナを張る中、経営に苦しんでいた老舗企業の案件に出逢いました。
蓋を開けてみると、その企業は自分が幼少期からお世話になった鈴木バイオリン製造でした。
国産バイオリンのパイオニアであり、素晴らしい製作技術を持った職人がいて、かつブランド力もある老舗メーカーが、ここで市場から追い出される訳にはいかない。過去に世界の頂点を獲ったポテンシャルのある国産企業を、僕が自分の持てるスキルとエネルギーを投入しイチから立て直せば、十分世界で戦える。と思いました。
音楽が人生の太い軸となり成長してきた原体験と、社会人になって没頭してきたあらゆるビジネスモデルとの出会いが掛け合わさって、鈴木バイオリン製造の小野田祐真は生まれました。

仕事へのこだわり

『人の3倍の密度で生きる』
ドン底に陥っていた鈴木バイオリン製造の経営を引き継いでから僅か1年で、一定の評価を得たり、メディアにも多く取り上げられる会社に復活できた理由をしばしば聞かれます。

前職の外資系勤務時代でも、かなりスピード感を持って成果を上げていたと思います。このスピードの源泉はどこにあるのか。なぜ速く成長できるのか。これはとてもシンプルです。「頑張るから」です。投入努力量が、人より圧倒的に多いからです。
鈴木バイオリン製造が製作している楽器、提供しているサービス、その世界観。鈴木バイオリン製造という会社で働くみんな。心底これらを愛していて、そのためなら他のすべてを犠牲にしてでも働きたいと思えます。24時間、365日、仕事や仲間のために身を捧げても構わない。投入量が多いので、過ごしている1週間の密度は、3週間ぐらいの濃さになっていると思います。
鈴木バイオリン製造に費やした最初の1年は、一般的な経営と比較すると、3年分はあるはずです。誇張ではなく、事業を引き継いでからほぼ1年、朝から翌日の朝まで会社のことを考え尽くしました。事業再生目標に据えた営業利益の規模を生み出すのに必要な戦略、他のメーカーが作る楽器との差別化や競争優位性。長く使ってもらえる心地よいプロダクト設計。盛り上がりが可視化されるようなデザイン性、インタラクティブ。そして何よりも「鈴木バイオリン製造という会社がどこを目指すのか」というビジョンと理念。これらをこの先、何があろうと決してぶれないレベルまで固めておこうと決めました。

最初は努力すれば何とかなると思っていましたが、努力の仕方がわからない。途方もない業務量と、それを支えるための過剰な労働で、気を抜くと頭がぼーっとする。事業を引き継いだ直後は、そうした日々が続いて、真っ暗闇の中を走っているようでした。
ただ、そんな中でも「絶対に俺たちはうまくいく」という根拠のない自信と、考え抜いて定めた会社の向かうべきビジョンと理念、そして自分個人の価値観のモチベーションの源泉は、ぶれずに存在し続けていました。

若者へのメッセージ

「無理だ」「やめておけ」「リスクが高い」「後悔するぞ」と、もっともらしい理由を述べて傷つくことを恐れて安全圏に逃げ込んで、人生の夢や可能性に賭けることから逃げ出すのが大人だというのなら、死ぬまで大人になんてならなくていい。
誰もあなたが、あなたの人生を豊かにしていく為の挑戦を止める権利なんて持ってやしない。
失敗しても、あなたのことなんて誰も見てなんていないから恥ずかしがる必要もない。迷ったら面白いと思う方、圧倒的なエネルギーでやり続けられると心から思える方を選択するべきです。
あとはただひたすらに行動あるのみ。右に行ってダメなら左に行けばいい。左もダメなら飛び越えていけばいい。飛び越えられなければ、体当たりして突き破る。突き破れなければ、今度は助走をつけてもう一度。それでもダメならマシンガンで破壊してしまおう。後ろを振り返ったり、過去にとらわれている時間なんてない。ただひたすらに前だけを向いて歩けばいい。
目の前には今を生きる為に必要な障害だらけで、人生は何一つ都合よくなんて進まない。でも一つだけ確かなことがある。飛行機は追い風じゃなく、向かい風を受けるから大空に向かって飛び立てる!