リックソフト株式会社 代表取締役

大貫 浩

Hiroshi Ohnuki

時流に乗る、臨機応変、深く考える

大貫 浩

略歴

明治大学大学院を卒業後、新卒で日本電気株式会社に入社。その後、個人事業主(フリーのシステムエンジニアとして活動)。2005年、リックソフト有限会社(現リックソフト株式会社)を設立し、代表取締役就任。2016年、米国法人Ricksoft,Inc.設立。Vice President 就任。

現在の仕事についた経緯

リックソフト有限会社を設立した当時、海外で人気のあるOSS(オープンソースソフトウェア:開発者がソースコートを公開し、基本的に無償利用が可能なソフトウェア)の翻訳ボランティアを数人の仲間と始めました。この時に出会ったのが現在の事業の中心となるアトラシアン社の製品です。
翻訳ボランティアの約2年間、アトラシアン製品をずっと使っていまして、これが非常に使いやすい製品だという事が分かりました。そこでこの製品を「日本でも広めたい!」と思い、アトラシアン社のパートナーになりました。現在でも当社の主力はアトラシアン製品です。

仕事へのこだわり

私には仕事に対する行動指針が幾つかあります。
代表的なものを述べると、「深く考える」、「スピード重視と品質重視を使い分ける」、「常に改善を提案する」などです。これらは全て1つのキーワード「価値」で繋がっています。

例えば、お客様へ何か提案する事を考えた時、お客様から聞いた情報だけでなく、これまでの経験や必要に応じた新たな調査を行い、インプット情報を増やし「深く考える」というプロセスを意識的に行うことで、価値ある提案(アウトプット)が出てくると信じています。
別の例では、会議で検討する時、議論の中で化学変化が発生し、当初は想像もつかないようなアイデアが出てくることがあります。これは価値ある会議だと思いますが、そのような会議にするためには会議中に「深く考える」プロセスが必要だと思います。

また仕事をしていると、ある時はスピードが重要であり、時には品質が重要な時もあります。どちらに価値を見出すかはケースバイケースです。特定の相手がいる場合はその相手の判断基準が重要となります。そのような場合、私は「あなたにとってどちらが重要、価値がありますか?」と素直に聞くようにしています。ほとんどの場合はスピードや品質のどちらかの答えが返ってきます。そこから「スピード重視と品質重視を使い分ける」という考えが生まれました。

最後に「常に改善を提案する」です。仕事をしていれば誰でもグチを言いたくなる時はあります。ただ、そのままグチを発言しても誰にも価値を提供しません。しかし見方、言い方を変えるだけで、改善へ変身させることができます。改善は前向きなパワーを生み出し、「なぜかあの人がいると困難な仕事も進む」と言われるようになり、それがその人の存在価値だと思います。
このように、私は仕事へのこだわりは価値を中心に考えています。

若者へのメッセージ

若者には、1つだけ伝えたいことがあります。
それは、自分の好きなことを仕事にすることは難しいが、逆に仕事を好きになる事は難しくないということです。

私は学生のころ、自分に営業の仕事は絶対に無理、やりたくないと思っていました。ましてや会社を経営するなど、社会人なりたての時は考えたこともありませんでした。
しかし、冒頭で紹介したように、アトラシアン製品を日本で広めたいと考え、営業を行い顧客が増えて会社が成長し、経営まで行うようになりました。
必要に迫られて始めた営業ですが、やってみるとこれが楽しいのです。営業の仕事は顧客からのフィードバックが直接分かり、新しい営業活動アイデアをすぐに試すことができます。それまで体力勝負的なイメージが強かった営業ですが、それは自分の食わず嫌いというものでした。営業は「仕事へのこだわり」を十分に発揮できる仕事だったのです。
そして、その発見は営業だけでなくマーケティングや経理・財務でも同じでした。さまざまな仕事に興味を持ち、好きになったことで、会社で行う仕事のほとんどを前向きに経験できました。この経験は今の経営という仕事に非常に役立っています。

私が伝えたいのは、仕事に限らず何かを好き/嫌い、楽しい/楽しくないということは自分という鏡を通して感じているだけだということです。よって何かのキッカケ(私の場合は、営業の仕事を実際に行ったこと)によって自分が変われば、世の中の見え方はガラっと変わります。若いときは、失敗しても良いので多くのキッカケを経験して欲しいと思います。