株式会社Hite&Co.代表取締役社長

金 英範

Hidenori Kim

万事尽くして天命を待つ

金 英範

略歴

1967年生まれの在日韓国人2世。早稲田大学理工学部建築学科卒。オフィス設計事務所勤務を経て、米国大学院へファシリティマネジメント(FM)修士留学。帰国後はモルガン・スタンレー・グループ株式会社、ゴールドマンサックス, メリルリンチ日本証券株式会社、米ジョンソンコントロールズ、日産自動車など大企業を中心に、25年以上にわたり総務・ファシリティマネジメント(FM)業務一筋にて実務経験を積む。スタートアップ企業から大企業まで幅広いコンサルティングやアウトソーシングの経験も豊富。総務・ファシリティマネジメント業界をリードする存在の一人。一級建築士、MCR(不動産管理資格)、 認定ファシリティマネジャー(CFM) の資格を保有。

現在の仕事についた経緯

私の幼少期からの行動の原点は、「人を喜ばせること」でした。スポーツが得意だったので友達の中では目立つ存在ではありながらも、実は裏方の役割が好きで例えばサッカーの白線引きやグラウンド整備など誰よりも一所懸命楽しむマメな少年でした。笑 旅行や飲み会の幹事も率先して引き受け、要するに世話好きというか誰かの「役に立てている」と思うことに心の充実と達成感を感じる性格でした。 父親が建築工務店を経営していたので幼少期から木材やおがくずに囲まれ、ノコギリやカンナが身近にあり自然とモノつくりへの興味は湧き工作物を作るのも大好きでした。そんな「世話好き性格」 x 「建築」(自分が好きなこと) = ファシリティマネジメントという職務に就いたのも、自然というか必然と感じます。

仕事へのこだわり

ファシリティマネジメントのジョブは、人のため、会社のため、社会のためという素敵な職務で一般的に総務部内に所属します。働き方にあったオフィスの選定や移転、内装デザイン、ホスピタリティで社員を活性化させ、大きな経費をコントロールし、ボランティアやCSR活動で社会貢献もできる仕事です。
建築家は人や社会のためでもありながらも、その使命は自分の作品を残すことなのに対し、ファシリティマネジメントは似て非なるもの、社内サービス業でありプロセスでありフローです。顧客=会社の社員であり、同様なキャリアは他にも法務、人事、経理など「バックオフィス」と呼ばれそのプロが存在します。これは終身雇用、年功序列では浸透しずらい面がありますが、今は大きな方向転換の時でしょうか。特に総務に関しては裏方へ配属されたというネガティブなイメージなど色眼鏡で見てしまう世間的傾向があります。総務という言葉が何でも屋的でわかりずらい面もありますが、その仕事を因数分解すると例えばオフィスデザインコーディネーター、オフィスサービスマネジャー、ファシリティマネジャー、自社不動産ポートフォリオ統括ダイレクター、イベントマネジメントなどの海外では普通に存在する職務(ジョブ)であり、会社への影響力を発揮する高給キャリア、資格制度もあります。
職務遂行上の必要な知識は不動産、建築、オフィスつくり、設備、什器、サービス、財務、関連法規など専門分野を跨ぎます。この仕事は「人を喜ばせるのが好き」という世話好き性格の人には尽きない喜びが潜んでいます。一生涯の仕事、会社の枠を超えた市場への貢献もでき、自分も成長し続けられる職務であり、私はそのこだわりと信念を持っています。

若者へのメッセージ

若い時の就職感はどうしても会社のブランドで選ぶいわゆる「就社」の感覚が強く、経験を重ねていくうちに自分の職を意識した「就職」となる傾向でしょう。本当の意味での就職は後でやってくる。それが何年後に自分に訪れるのか。早いほうが良いです。何に喜びを感じるかは人それぞれ違っていいですが、会社のブランドに喜びを感じる賞味期限は短く、「職」に喜びを感じるのは一生涯です。
会社内で何でもやります!では結果的に市場で使い物にならない人となってしまいます。どんな職務もプロ職務としてそのスキル、キャリア、コミュニティが存在し刺激し合い切磋琢磨しながら市場競争力をつけていきます。その継続的な努力の結果、プロ職能となり市場で求められる引っ張りダコ人材=高給取りー生活の充実―人生の充実となれるわけです。 「プロ」とはその事で一生食べていけることである!
コロナもきっかけとなり働き方の多様化もさらに加速しますが、環境変化の中でも自分らしいプロ職務の軸を持っていれば怖いものはなく、むしろ社会が苦境の時こそ、その専門性を発揮できます。
「自分の性格」 x 「好きなこと」 = 自分らしい職務(ジョブ)
を早いうちに見つけましょう!