有限会社 山口陶器 代表取締役

山口典宏

Norihiro Yamaguchi

継続は力なり

山口典宏

現在の仕事についた経緯

弊社は昭和48年に父が創業した会社です。
私自身は昔から会社を継ぐ気はさらさらなく、中学からはラグビー一筋で、高校も会社もラグビーが縁で入りました。私の母校には窯業科(セラミック科)もあったのですが、家業に関わる=敷かれたレールを歩むことという感覚があり、その科に入ることすら嫌がっていました。
卒業後は地元の優良企業に入り、サラリーマン生活を送っていました。しかしずっとこのままという気はせず、今までの人生で特に苦労をしてこなかったし、自分で何かしたいと考えた先に、家業のことを強く意識するようになりました。
衰退業界のため、父には「継ぐな」と反対されましたが、私はこれで食べさせてもらったわけですし、ここで1つ腹を決めようと決断したのが27歳のときです。

仕事へのこだわりと目標

「何のために仕事をしているか」という太い幹を自分の中に構え、ブレずに仕事をすることです。
私にとっての「太い幹」は、やはり地場産業としてのこの事業をいかに展開していくかという点です。その上では、地域のためにできることを意識し続けています。
2014年にオリジナルブランド『かもしか道具店』を始めたのも、地域の人が産地を誇りに思ってくれるようなブランドを作りたいと思ったのがきっかけでした。
おかげさまで東京出店の話もたくさん頂きますが、地域のためを思うなら、やはり産地ブランドは産地に属すべきとの考えから、直営店は菰野町のみの営業としています。
従来は、まず日本の中心にモノを流通して、そこで売れたら地方へ浸透していくという流れがあったかもしれませんが、私達のような地場産業は逆に地方から発信を続けて、中心でも普及されるよう取り組むことが大切なのではないかと思います。

今後の目標としては、100年後でもしっかりと残っているような事業、ひいては進んで「継ぎたい」と言ってもらえるような会社にしていきたいですね。それから、地域のために何ができるかということは、今もこの先も追及し続けていきます。
今検討しているのは、弊社がハブとなって町全体が元気になるような取り組みです。
たとえば弊社の工場やその周辺を開拓して、コミュニティを作ったり、観光コンシェルジュを置いて観光者の質問になんでも答えられるようにしたり。「ここに来れば何か面白いことに出会える」と思ってもらえるような空間になれば、菰野町の観光振興にも繋がると考えています。
ただ、地場産業というコンセプトで町を盛り上げていくのなら、弊社のみならず地域全体を、伝統にしがみつかず、アンテナを高く張り、ときには自身の許容外のことも受け入れられる体質に変えていかなければならないでしょう。
その必要性を声高に叫んで、産地全体を引っ張っていくことも、私の仕事の1つになるかと思います。

若者へのメッセージ

私からできるアドバイスは2つあります。
1つ目はアンテナを常に高くしておくこと。
2つ目はいろんな人の話を聞くことです。
ただ、年配の世代から「今の若いもんは」と言われても、あまり聞き入れなくていいと思います。
私自身、当該の世代には思うところがたくさんあるからです。
逆に、今の若い世代の人は非常に能力が高く、さまざまな可能性を秘めていると思います。
いち経営者としては、若い世代の人達に発破をかけてもらい、ビジネスをどんどん引っ張ってもらえることを楽しみにしています。