株式会社山岸製作所 代表取締役

山岸晋作

Shinsaku Yamagishi

主体変容

山岸晋作

現在の仕事についた経緯

弊社は昭和11年に曾祖父が創業した会社で、今年86年目になります。
私もいずれは入社する予定だったのですが、アメリカに留学中、父が免れない理由から社長の座を退くことになってしまいました。言わば父が追い出されてしまったという状況にショックを受けた私は、もう会社には戻らず自分なりのキャリアを構築しようと決意。アメリカで仕事をしたのち、帰国後は外資系の大手企業で勤めていたのですが、2004年に母から戻って来ないかと連絡がありました。
「山岸」の姓を持つ者としてやはり会社をそのままにしておけないという想いもどこかにありましたし、いつかはリーダーシップを発揮してみたいというビジョンもあったため、これを機に会社を継承することにしました。
2010年に代表へ就任し、最初に行った大事業は、メインストリームであった家具の制作工場を閉鎖することでした。理由は継続的な大赤字によるものです。どれだけ社員が頑張っても財政状況が悪くなるという悪循環を断ち切るため、決死の想いで決断しました。
2012年からはオフィス家具の部門において大きく路線変更を行い、再スタートを切りました。
従来の「家具を仕入れて販売する」スタイルではなく、実際に私達が働くオフィスをショールーム化し、お客様に見て頂くというライブオフィスのスタイルを取ったのです。つまり家具の販売だけでなく、フリースタイルやテレワークといった働き方まで見て頂けるようにしました。

仕事へのこだわりと目標

こだわりは大きく分けて2つあります。
1つは、選択肢が複数あったらより困難な方を選ぶことです。
振り返れば、アメリカ留学を決意したときも、アメリカで働くときも、日本に戻ってきたときも、必ずチャレンジングな方を選んできました。もともとの性格もあるかと思いますが、選択基準はいつも「自分が成長できるか」「ワクワクドキドキするか」という点に置いています。
2つ目は、周囲の人すべてに気を配ることです。
お客様にご満足頂くことはもちろんですが、やはりそれだけでは経営者としては不十分です。ご縁があって入社してくれたメンバーにもキラキラ輝いてほしいと思っています。
弊社では祖父の代から力を貸してくれてる社員もいるので、特にそう感じるのかもしれません。また長年事業をさせて頂いている者としては、地域に貢献するにはどうしたらいいかという考えも念頭にあります。
このようにお客様、社員、社会の全方位にバランスよく還元することを心がけています。

今後の目標としては、私達のような古い会社が新しい試みを続けることで、金沢にいる中小企業の皆さんに、豊かさや楽しさを伝えていければと思っています。ひいては地域に貢献できるリード役であり続けたいですね。
新しい会社が新しいことをするのは当然ですし、古い会社が古いことをするのも当たり前です。
だからこそ弊社のような古い会社が、最先端の働き方を取り入れているところに難しさと価値があると思っています。
また闇雲に新しいことに取り組むのではなく、地域に対して本当に価値を残せるのか、貢献できるのかという点の見極めも重要です。そのためにも、社員1人1人が新しい価値や魅力を伝えていく伝道師としての自覚を持ち、主体的になってもらう必要があると思います。
経営者としては、今後より社員を巻き込んで活動していけるような体制作りに注力していくつもりです。

若者へのメッセージ

何かを選択するときは、まず自分の心に聞いてみてください。
もし心臓がドキドキしていたら、それは準備が万端だから、そちらへ行けということです。
どういうことかと言うと、たとえばサッカーや野球をするときは、わざとジョギングをして心拍数を上げ、体を準備状態に持っていきますよね。
つまり何か物事を考えたときに心臓がドキドキしているということは、体が勝手に準備を整えてくれたということです。そういうときは信じて進めば必ず人よりも大きな成果が出せます。
不安もあるかと思いますが、ここまでやってきた私の体感として、この世で大失敗をすることはほぼありません。
だから心の声に正直に挑んでみられるといいと思いますよ。