一般社団法人 Big Data Lab 代表

田中 統

Suguru Tanaka

石の上にも三年

田中 統

略歴

1994年滋賀県生まれ。幼少期をカリフォルニアで過ごす。

都内の公立学校を卒業後、東京工業大学に入学し統計学に出会う。スウェーデン王立工科大学留学を経て、新しい経済的手法を提案した学士論文が最優秀に採択される。東工大を副総代として卒業後、某ユニコーン企業に初の新卒として入社し、ビッグデータ解析に従事。

退職後に渡英し、MSc Data Science プログラムに参加。同プログラムでオールAを取得し、修士(理学)を取得。また、Facebookとの共同研究に従事した。これらの業績を受け、英国王室の統計学会(RSS)から統計学者としての技能の認可を受ける。

帰国後に、Big Data Labを設立し、代表理事に就任。多岐に渡る領域で50件に上るデータサイエンスのプロジェクトに従事した経験を持つ。

現在の仕事についた経緯

学生時代から社会課題を数理的に解決することに興味があり、特に統計学にその可能性を感じていました。卒業後に様々な進路を一から検討してみましたが、一つだけ進路を選ぶとなった時「統計」という要素は欠かせないと思いました。エンジニアだった父の影響もあり、統計とコンピュータどちらの知見も必要になるデータサイエンティストが、自身に合ったキャリアだと確信しました。

ただ、正社員として企業に勤めると、自身のデータサイエンティストとしての貢献が限定されてしまうように感じました。一方で個人でお仕事をしていると、提供できる価値のスケールに限界を感じました。同じくデータサイエンスを志す方や研究者の方とタッグを組めば、より多くの業界で、より大きな社会的な貢献ができると確信し、一般社団法人 Big Data Lab を設立しました。

仕事で意識していること

積極的に動き、約束を守ることを意識しています。
プライベートでもビジネスでも、自身の一つ一つの言動や行い、振る舞いは全て何らかの形で評価されると考えています。特にビジネスでは信頼が命であり、関わる方の期待を裏切らないよう慎重に行動しています。ただし実業家として、慎重な行動はチャンスを潰してしまいます。積極性と慎重さの両立を心がけています。

データサイエンスでは、文字通りデータという見えづらい物を扱います。扱う概念はしばしば複雑で、日頃から業務に追われる方にとってそのキャッチアップは容易ではありません。幅広いクライアントに接するにつれ、自身の提供する内容の難解さは禁物であると考えるようになりました。データ可視化等を通し、可能な限り分かりやすくシンプルな分析を行うよう心がけています。

AI・データサイエンスは脚光を浴びていますが、失敗例はあまり表に出てきません。現実問題、この領域は状況による変動や不確実性が多くあり、プロジェクトが成功する方がむしろ稀とさえ言えるかもしれません。もちろん、失敗のないイノベーションはありません。リスク回避的なプロジェクトでは、得られる革新性も限られてしまいます。

それでも、私はAIのプロジェクトでは失敗をしない選択をすることを意識しています。成功確度の高いものから小さく積み重ねていけば、失敗を最小限にしつつ着実に価値を残していけると思っているからです。

AIのプロジェクトもデータ分析と同様、直感性を求めることで失敗するリスクを減らし、加えてプログラムの引き継ぎや維持のハードルを下げることができます。機械が理解できるプログラムを作るのは簡単ですが、人間が理解できるプログラムを作ることは難しいのです。

成功の秘訣

私自身まだまだ若輩者ですが、それでもいくつか確信している事実があります。

一つ目は、幅広い体験をするのは良いということ。
医者の子は医者に、経営者の子は経営者になり、子供の頃の環境は価値観やキャリア形成に強い影響を与えるようです。違う環境に自ら身を置くことで、元々いた環境に縛られず、より広い視点で将来像を描き、目標を作ることができます。

二つ目は、出来れば良い指導者の下で、長期的に継続して何かに打ち込むと良いこと。
3年かけて学ぶより3年かけて指導者を選ぶべし、という中国のことわざがありますが、指導者によってその方の人生は大きく変わります。スポーツや芸術、学問、ビジネスでも「一流」と呼ばれる方の努力の姿勢は共通しているものがあります。良い指導者の元、「極める」事の水準を覚えれば、どの領域に進んでも経験は活きてきます。

三つ目は、習慣こそ命であるということ。
短期的な努力に苦心するよりも、ハードルを下げて持続的にできる努力を習慣化すると良いです。大御所と呼ばれる方を見ていても、どなたも成功し続けたわけではなかったです。大きいゴールを作り、長期的な視野で頑張るからこそ、一時的な失敗から挫折することが少なくなります。