株式会社CROSS SYNC 代表取締役/医師

高木俊介

Shunsuke Takaki

現場から生み出す

高木俊介

略歴

横浜市立大学医学部を卒業し、麻酔・救急・集中治療に従事。その後、マレーシア・オーストラリアで臨床・研究に従事したのち、2012年から横浜市立大学附属病院 集中治療部に勤務。

現在の仕事についた経緯

医学部を卒業して研修をしている際に、急変によって担当患者さんを救えなかった経験をしました。患者さんは予定手術を受ける前日から不安を訴えていましたが、医療従事者は誰も予兆に気づくことはできませんでした。手術が終わって病室に戻った際に急変をしてしまい、その後蘇生処置を行いましたが亡くなってしまいました。
今後、同じ様な急変に立ち会った時には、患者さんを救いたいという思いから、救急・集中治療の道を志しました。現在まで20年ほど重症管理の現場にいますが、急変して不幸な転帰となる患者さんは現在も存在しています。
医療従事者の努力だけでは救えない患者さんがいることを感じ、よりテクノロジーを活用して患者さんの急変を未然に察知する仕組みが必要だと思いました。現在も集中治療室に勤務して重症患者を管理することで、より現場で求められるアルゴリズムの開発に取り組んでいます。

仕事へのこだわり

私は常にチームで動くという事を心掛けています。自分一人で行うことは、スピード感は持てたとしても大きなことは出来ません。そして、自分一人で考えるアイデアは視野が狭くなりがちですが、多くの人の知見を持ち寄ることで、調和の取れた視野の広いアイデアが生まれてくると思っています。
そのためには、多職種が意見や知見を出し易い環境作り、心理的安全性を担保したチーム作りが重要になってきます。チームは色々な能力と経験を持った人の集まりであり、それぞれの役割を最大限に活かし、自由な議論を繰り返すことで仕事が円滑に進んでいきます。

心理的安全性を担保したチーム作りのために行っていることは、常に感情を入れずに冷静に業務やメンバーに対峙することです。そうする事で、何か問題が生じたときに個々のメンバーに原因検索をすることなく、問題の事象に対して冷静に分析して対応することができます。人は無意識にリスク回避をする性質があり、問題の度に自分が責められるリスクがあると、積極的に行動が取れなくなります。それにより、各メンバーが自由な意見を言い合うことによる新たな知の創出が困難になってしまうため、自由な意見を言い合える環境づくりを常に意識しています。

そして、一番重要な要素として考えているのは、仕事に対する熱量だと思っています。自分が取り組んでいる業務や役割に対し、誰よりも熱と時間をかけて没頭することで、その業務に関しては誰にも負けないという意識が生まれてきます。そうした熱がチームに浸透していくことで、チームメンバーが自分ごととして業務に取り組む様になり、結果として仕事全体が活性化していきます。心理的安全性による自由な議論と熱量を持った組織が大きな仕事を成し遂げられると思っています。

若者へのメッセージ

新しい取り組みをする時には、必ず不確実性が伴います。事前に幾ら戦略を立てていても、色々な障壁にぶち当たります。その障壁が今まで誰も経験したことがないものだとしたら、それを解決できる機会は貴重だと思って欲しいです。
障壁を乗り越える過程で生まれてくる戦略を創発的戦略と言い、これは新たな取り組みをしたからこそ作り上げられるものです。この障壁にぶち当たった数だけ成長するものなので、勇気を出して誰もやったことのない取り組みをしてみてください!