コスモICTイノベーション/ICT最適化プロデューサー

田口恵一

Keichi Taguchi

今やるべきことを今やる

田口恵一

略歴

宇都宮大学工学部卒業。新卒で日本無線株式会社に入社。特殊な無線通信システム開発に従事。回路設計からハードウエアシステム開発の取り纏めなどに携わる。他にも、コンサル関連会社、IT関連業界にも所属し、情報通信技術、電気電子技術にかかわる業務を多く実施。
2021年10月に独立。現在は、無線通信を軸とした情報通信にかかわる技術について、技術顧問やコンサルティングなどで各種メーカの支援を行う。

現在の仕事についた経緯

社会人になってから無線通信装置システムの開発及びとりまとめ業務を多く実施しました。開発に関連したフィールド試験を行うことがあり、開発装置について様々な環境下での運用確認も実施してきました。
その他、管理職としてプロジェクト管理、関係者の管理・指導、原価管理などの管理業務や顧客対応を含んだ製品・技術提案も行いました。設計だけでなく、技術者が携わる業務のおよそ全てを行いました。
今の世の中、様々な装置や電子機器などは通信機能が付加されているのが当たり前の時代です。そこで、自分の知見を広く世の中に役立てたいと思うようになりました。そのため、無線通信を主軸に情報通信技術(ICT)をメインとした技術サービスの提供を考えました。様々な企業への開発支援、お困りごとの解消を行うことによって、便利で安全な持続可能の社会へと貢献でき、それが公益の確保につながると思いました。これが、独立開業して事業を始めようと思ったことになります。

仕事へのこだわり

仕事は顧客が満足するのは当然ですが、何より自分が納得しなければ製作した製品を顧客に提供できるはずはありません。そのため「これを超えるものはない」という物理的、精神的状態であることが最も重要なことであると信じて仕事を遂行してきました。しかし、製品として提供するためには、顧客要求に応えるのは当然であり、QCDの満足と、更にプラスαが必要です。いくら自分が納得しなければならないといっても、そこをはき違えると、顧客は満足しないでしょう。そこで、ある程度の妥協は許容しなければなりません。このバランス感覚は、一朝一夕には身につくものでは無く、多くの経験値と多くの協力者がいて初めて成り立つものだと考えています。

そこで、技術者である前に、何より自分は他の人のお手本となれるような「人物」であることを心掛けました。また、プロジェクトを推進させるために、まず周囲が安心して行動できるように業務的や精神的な段取りを行い、自分の業務はその次とするように努めました。まずは、他のメンバーの安心を得られることを行ってプロジェクトが進む様にした後に自分の業務を行います。そうしないと、プロジェクトは前に進まないでグルグルと同じところを迷走してしまうからです。スケジュールや仕様を決めればそれで良いということはありません。
自分一人で仕事をするなら良いですが、チームで仕事を行うには、人の見えないところに気を遣うことが大切であり、これに配慮が無いとプロジェクトチームは空中分解してしまいます。先人たちはその部分をよく知っていて、「プロジェクトマネジメント」という言葉が生まれる前から行われてきた日本独特の文化ではないかと考えています。人を気遣わない人が取り纏めをする事業ほど悲惨なものはなく、そういったプロジェクトをいくつも見てきました。自分はそうならないために誰が見ても不安にならない「お手本」であること心掛けて仕事を進めるようにしています。

若者へのメッセージ

人間だれしも目先のことを考えがちです。何か事を成すとき、お金がもったいないからとケチケチすることなどがあります。例えば、技術を学びたいと考えたとき、専門書などを購入して勉強しようと思いますよね。そこで、もし、有益な技術セミナーがあったとした場合、お金をケチってセミナーは受講しないで独学で何とかしようと考えると思います。しかし、重要なことは、お金でなく時間です。いかに早く技術を取得し、それを活かした活動を始められるかを考える思考パターンとなるかどうかです。私は「時間は全ての人に共通で平等」だと考えています。
人の成長には、良い指導者、協力者、仲間が不可欠だと思っています。私は学生の頃にアルバイトをしていましたが、そこのアルバイト先の社長にはかなり影響を受け、常に何が大切なことなのかを考える思考を学びました。
また、書籍やメディア等でも影響を受けました。自分というものを形成する過程で、自分にとってのモデルとなるようなものを見つけ、いつかそうなりたいと考えることは自分が成長するためのステップだと思います。何でも良い、自分のなりたいものを見つけることが大切です。
小学生が「将来の夢」を卒業文集などに書くことがありますが、今思えば、それはおそらく、本当の自分の将来を考える練習だったのかもしれません。今からでも遅くはないですよ。