アルサーガパートナーズ株式会社 代表取締役社長 CEO/CTO

小俣泰明

Taimei Omata

お金は大事。仕事は何でもやる。でも魂は売らない。

小俣泰明

略歴

日本ヒューレット・パッカードやNTTコミュニケーションズなどの大手ITベンダーで技術職を担当し、ネットワーク構築からシステム運用までを幅広く担当。その後、ITベンチャー企業に参画し、多くのサービス開発に携わり、取締役兼CTOへ就任。
2012年には自身でITベンチャー企業を創業し、設立から3年で180名規模にまで成長させた。2016年、ITサービス戦略開発会社アルサーガパートナーズ株式会社を設立。日本全国のDX事業の成功をミッションとし、コンサルティングから開発、保守・運用までをワンストップで提供している。

現在の仕事についた経緯

もともと独立志向があったわけではなく、20代の頃はとにかく大企業に入りたいと考えていました。
結果的にNTTコミュニケーションズに入社して当初の目標は果たせたのですが、しばらくすると、自分の理想とは大きなギャップがあることに気づき始めました。
大手企業ではよくあることですが、仕事の全体感の把握が難しく、良いアイデアが浮かんでもなかなか実行に移しにくいといった点がありました。自分が取り組んでいる仕事はただの歯車の一つだという意識がどんどん強くなり「なんのために働いているんだろう?」と、自分の存在意義を疑うようになっていました。
そのタイミングで、ベンチャー企業に転職した先輩から「お前もベンチャーに向いているはずだから来いよ」と誘ってもらい、思い切って転職。
結果的にその判断は正しく、自分の頑張りが業績に直結するベンチャー業界は私の肌に合うものでした。そこからいろんな会社を転々とすることになるのですが、最後に勤めた企業で能力が評価され、取締役のポジションへ就任することになりました。
しかしまだまだ上を目指したいという想いは消えず、それなら社長になるしかないと自分の会社を立ち上げました。

仕事へのこだわりと目標

「仕事は何でもやる。でも魂は売らない」ということです。
というのも、お客様が新しいITサービスを作りたいと相談に来られて、いざ話を聞くと、作らない方が良いというケースがよくあるからです。そういう場合は、開発の話は無しにして、既存のツール導入をおすすめしたり、別の提案をしたりします。
自社の売上だけ考えるなら、お客様に言われた通りのシステムを開発していれば良いのですが、我々はそれをしない、ということですね。それは私がソフトウェア産業にこだわりを持っているからとも言えます。

日本はもともとハードウェア開発に強く、ガラケーの時代から防水機能を搭載するなど優れた技術力を持っていました。しかしソフトウェア開発の技術力が滅法弱いために、スマートフォンの時代になってからは海外企業に徹底的に打ちのめされてしまいました。
今後日本はそれを教訓として、ソフトウェア開発力を高め、ハードウェアと1セットで売っていくという考えを持っていないといけないと思います。だからこそ私は、自社の売り上げだけを考えるのではなく、お客様や業界全体への貢献に繋がるような仕事を意識しています。

大きな展望としては「ITゼネコン」と呼ばれる多重下請け構造を改善していきたいと思っています。
大手ITベンダーがプログラミングやインフラ構築業務を下請け企業に発注するこの体制がまかり通っていると、結果的に労働環境の悪化や、日本国内のIT技術力の衰退にも繋がります。
また、そういう意味ではオフショア開発も見逃せない問題です。オフショアとは日本よりも給与水準の低い発展途上国などにIT開発業務を委託することで、人件費削減の面では確かに効果的な方法です。
しかしオフショア開発を増やしていった結果、IT技術がどこに残るのかと言えばそれは日本ではなく、委託を受けた外国なんですよね。海外から見ても、コストが低いのであれば最初から直接受託国に依頼するという流れになってしまいます。
日本は資源国ではないので、製造業を含め、モノづくりができる力を蓄えておかないと、先の経済が本当に悲惨な状態になってしまいます。
それを防ぐためにも、私はソフトウェア開発を日本の産業として残さなくてはいけないと思いますし、同時に、IT技術力をしっかりと国内に残していけるような組織を造っていきたいと考えています。

若者へのメッセージ

人間が一番幸せを感じられる瞬間は、自分の価値を提供できたときです。
だから、自分にしかできないことがある人はもちろん強みになりますが、そうじゃなくても、自分ができることをたくさん持っておく、増やしておくというのは大切だと思います。
たとえば、料理ができるようになる、ゲームがうまくなる等、なんでもいいんです。
もし映画が好きな人なら、レビューがたくさんできるようになれば、人から「詳しいね!」と褒められたり「おすすめの映画ある?」と意見を聞かれたりすると思います。
つまり、できることが増えるというのは、それだけ人に価値を与えられて、幸せな気持ちになるための手数が増えるということだと覚えておいてください。「TikTokが超好き!」とかでも良いんですよ。
ぜひ意識して取り組んでみてください。