発達障害職業コンサルタント

貫井 学

Manabu Nukui

未来に出会う誰かのために

貫井 学

略歴

1976年生まれ、福岡県北九州市出身。
障害者雇用に特化した転職エージェントに就職し、職場の開拓や企業と当事者のマッチング、定着支援などの業務に従事。
その後、国家資格キャリアコンサルタントを取得。企業内カウンセラーとして契約企業に訪問、定期的にカウンセリングを行う。
また、就労移行支援事業所(障害者が一般就労を目指して通所する訓練施設)ではキャリアアップ講座を担当し主に発達障害をもった方の就労支援に励む。
2018年からは都内の発達障害支援事業所で発達障害者の就労相談を受けている。また、キャリアコンサルタント養成学校にて講師として登壇、後進の育成に努めている。
現在は相談業と講師業の二足のワラジで活動中。
著書に『キャリアコンサルタントの歩み方』(ファストブック)。

現在の仕事についた経緯

母親から受けた虐待、これが発達障害者の就労支援に結びつく最初のきっかけです。
この出来事から「今いる狭い世界から広い世界に飛び出したい!」と思い、九州国際センター(現在、JICA九州)に定期的に通い始めました。そこで北九州日雇越冬実行委員会(2014年に特定非営利活動法人抱樸に改称)の事務局長(現在、理事長)奥田知志先生に出会いボランティア活動に参加することになり、週に一度、路上生活者におにぎりと豚汁を配りました。

当時、先生がおっしゃった「彼らに本当に必要なのは週一のおにぎりではない、仕事だ」という言葉を今でもよく覚えています。

「じゃ、今やっている活動は何なのか?」と中学生だった私の心に悶々とした思いが残りました。活動を1年ほど続け足が遠のきましたが、それから20年後、奥田先生と「再会」します。
私が転職活動をしているとき、ふとテレビをつけるとそこには奥田先生が映っていました。「今後もホームレス支援を頑張っていく」とインタビューを受けていました。

「先生だ!懐かしい。今も活動を続けてらっしゃるんだ!」と、驚きと共に当時のことを様々思い出しました。
「週一のおにぎりではなく仕事」「路上生活者には障害者が多かった」そして、今自分は転職活動中。思いが交差する中で「そうだ!障害をもった方の就労支援が出来ないだろうか?!」との思いに至り障害者雇用に特化した転職エージェントに就職、現在の発達障害者支援に関わるようになりました。

仕事へのこだわり

ご相談を受ける際のこだわりは3つあります。

①話しをしっかり聴く
これは特に意識していることで目の前のクライエントがどんな経緯で「相談に行こう」と思ったかをしっかり聞いています。
特に発達障害をもった方はその特性から、幼少期から叱られる経験が多く自尊心、自己肯定感を無くしている方が多くみえます。自身の「うまくいかなさ」から感じる苦しさ、辛さ、悲しさ、そういった思いを誰にも理解されず一人抱えて相談に来られます。
また、中々自分の考え、思っていることを言葉として表出することが難しいこともありますので尚更クライエントの言語、非言語に思いを向け、聴く必要が出てきます。

②思いを受け止め労(ねぎら)う
障害や困り感、ストレスは「個人」と「環境」の相互作用により濃くも薄くもなります。多くの方は子どもの頃から親から叱られ続け、学校から社会に移行した後も上司や同僚から「もっと頑張れ」「真面目にやれ!」と「個人」の努力を求められ疲弊しています。
努力で改善出来ていればそもそも発達障害ではないわけですが、ご本人自身がそれを理解せず「出来ないのは自分が悪い」と努力や根性、精神論で何とかしようと頑張り続け、その結果、心も体も壊しています。

ご相談では「どんなに頑張っても自分には出来ない…」と投げやりになっている方もいます。「ここまで自分一人でよくやってきた、こんなに辛い思いをするほど頑張ってこられた、先ずは自分自身を褒めて労って欲しい」こんな言葉を添えてお伝えすると「そんな風にはじめて言われました」と涙を流される方が多くみえます。

面談では「個人」を変えるのではなく「環境」を変えることを一緒に考えています。

③自己決定を委ねる
自分で考え選択、決定する、この自己決定の力が弱い方がとても多いと思っています。その理由として親や周りの大人が良かれと思って「転ばぬ先の杖」を多用した結果だと思っています。本人が失敗しないように間違った選択をしないように「こうしなさい」「ああしなさい」と言い続けた結果、自己決定の筋肉が十分に育たないまま大人になっている方が多いのです。
相談を受ける中では私から「こうした方が良い」など指示はせずクライエントの自己決定を委ねるようにしています。
「あなたはどうしたい?」「それはなぜ?」「その選択肢を選んだ場合どうなっていく?」そのような問いかけを行い、最終的に自分で決定するお手伝いをしています。

自分で選択、決定する。この力が将来の自立(経済的な)と自律(セルフコントロール)に繋がっていくと信じています。

「話しをしっかり聴く」「思いを受け止め労う」「自己決定を委ねる」この3つを特にご相談を受ける際には、こだわっています。

若者へのメッセージ

「好奇心」「挑戦」「学習」この3つをもって欲しいと強く思います。

様々なことに好奇心をもって首を突っ込んでみて下さい。ときにはその道のプロの人の話を聞きに行ったり本を読んだり個人的に「会ってお話を聞きたいです」と連絡を取って会うのもありです。意外に「会いたい」と言われれば会ってくれる人もいます。私自身も職業選択に悩む大学生から「障害者支援に興味があります、一度お話を聞かせて欲しいです」と言われ実際に会いに行ったこともあります。

そして、これが面白そうだというものがあれば挑戦してみて下さい。それは新しいスキルを学んだり経験を得たり知識を身につける事かもしれません。人間は挑戦を糧に成長するように出来ています。挑戦することで昨日とは違う新しい自分を感じて下さい。

更に、挑戦するためには学習が必要です。学びが深まれば深まるほど、積み重ねれば積み重なるほど楽しくなっていきます。多くの方は「楽しい」と思う前に学びを辞めていく方多い。人が新しいことを習慣化するために必要な日数は諸説ありますが約66日間が必要と言われています。約二か月ちょっとです。この期間頑張れば習慣化されていきます。

最後に「プラス思考」であって欲しいと思います。
私の言うプラス思考は「なんでもポジティブで行こうぜ、イェイ!」という意味ではありません。人は生まれ、ほんの百年ばかり生きて死んでいきます。この世に生を受け逝く時に何か少しでも恩恵を残してこの人生と言う名の物語を閉じる、つまり自分が生きたことで、少し世の中にプラスになる。これこそが真のプラス思考だと思っています。

あなたが生きたことで誰かのためになるように良い影響を与えるようにプラス思考で是非挑んでください。未来に出会う誰かのために未来に起こる何かのために今を生き切る、あなたのステージで頑張って下さい、応援しています!!