ユニカ食品株式会社代表取締役

西村 雅彦

Masahiko Nishimura

継続は力なり

西村 雅彦

略歴

1954年兵庫県生まれ。77年神戸商科大学卒業後、江崎グリコ株式会社に入社、菓子の商品開発の業務に従事。93年に同社を退職し、天然アミノ酸カルシウム研究所、94年ユニカを経て、95年ユニカ食品株式会社を設立し、代表取締役に就任。2006年SD科学設立、2019年ナチュラルジャパン設立。現在に至る。

現在の仕事についた経緯

江崎グリコに入社してお菓子の開発部門に配属されて以降、社是である「食品による国民の体位向上」に叶う商品を開発することで社会貢献をしたかった。1970年代でも既にカルシウムは不足している栄養素の筆頭であり、龍骨や珊瑚、魚骨、牛骨に牛乳等、由来物質の良否と如何にたくさん摂取するかばかりが話題であった。ご多分に漏れず、魚の骨とすり身をベースにしたスナックを世に出して失敗。リベンジを模索していたところに「カルシウムは吸収しなくちゃ意味がない」と教えてくださる方が現れた。会社に対する不満もあったため、この人と一緒にやろうと決めて江崎グリコを退社。ここから苦難と言うか、苦行が始まるのだが、幸い生産・研究・学術方面で多くの優秀な知人に恵まれ、ユニカルと言う素晴らしいカルシウムの開発・展開に携わり今に至っている。

仕事へのこだわり

江崎グリコ時代の経験から、会社をやるなら1コンセプト1カンパニーが良いと考えていたし、今生はカルシウムに賭けると決めて会社を辞めたからには、カルシウム以外のものに手を出さない。その決心のもと、創業当時の経営受難期にもお菓子の生産や売れそうなサプリメントの打診をお断りし、カルシウム一筋である。また、カルシウムは吸収が大切であると教えてくださった方の商品開発は、どちらかと言えば科学的知見に基づいてというより、情熱と経験則に基づくものであった。その反省を踏まえると共に、創業以来お世話になった会社の社長から頂いたアドバイス「これからはエビデンス第一主義」を戒めに、資金的にはとてもキツイが動物実験・臨床試験での確認は怠らない。そして事業を展開して行く上でも当然基軸はカルシウムである。食品、非食品の両方向に原料となるホタテの貝殻を焼成する事業と、ユニカル生産手法の核「スプレードライ」を化学分野に用いてノウハウを蓄積する事業、吸収性が差別化ポイントとなるサプリメントおよび各種食品向け原料事業。この3つを基本にシナジー効果の実現を目指している。

若者へのメッセージ

40歳までのサラリーマン時代とそれ以降経営者になってからを比べると、基本的な性格は変わらないものの、在り様はものすごく変わったと思う。一貫して根アカで楽天家である。根拠のない自信があり、夜にはだんだん落ち込んでも、翌朝明るい太陽を見ると「天は落ちてこない」と元気が回復。
変わったところを具体的に挙げると、今思えばサラリーマン時代の自分は会社にタカッテいたようなもの。許される範囲であれば、研究費を自分のお金のごとく思っていたし、残業をつけるのも生活費を増やしている感覚であった。仕事が進まないのは他人のせいで、やはり権威には弱かったと思う。そんな私をあちこち連れて行ってくれた業者さんには大変勉強をさせていただいた。お金の重要性は知っているつもりでいたが、会社を経営してみて初めてその大切さを本当に理解した。親切心で保証人を引き受けて逃げられ持ち家を処分したり、甘い話に乗って数千万円を貸すも踏み倒されたり、人を信じないことも悪いが安易に信じるのも大問題だと悟った。税理士の先生から「お金と言うのはモノの代表で、命の次に大事なモノ」と常々聞かされていたが、その通りであった。弱小企業はなかなか人を選べないため、縁あって集まり一緒に事業を運営する。誰にも一長一短あるものだが、わかったことが1つある。小さい失敗を経験することで、大きな失敗を防げると思っていたが、どうも少し違う。人には持って生まれた運気というものがあるようだ。失敗する人はよく失敗し、成功する人はよく成功する。運の良い人と付き合うことはとても大事なことで、そのことで事業は発展すると感じている。