株式会社水鳥工業 代表取締役社長

水鳥友紀子

Yukiko Mizutori

お天道様が見ている

水鳥友紀子

略歴

青山学院女子短期大学卒業国文学科後、山野愛子美容学校で学び、美容師免許を取得。
横浜の美容室での美容師経験を経て水鳥工業へ入社。2019年代表取締役社長に就任。

現在の仕事についた経緯

もともと父は娘に家業を継がせるつもりはなく、自分の代で会社を終える予定でした。私も美容師という職業が天職と思うほど大好きでしたので、生涯続けるつもりでいました。
ただmizutoriの下駄のご愛用者様の声や父が催事販売へ行く度に手土産を持って会いに来て下さるファンがいることを見聞きしているうちに、父や商品のすごさを感じて興味はもっていました。そしてだんだんと父の築いて来たものをここで終わらせるのはもったいないのではないかと思い始めました。
美容師の仕事も顧客の要望にいかに応えるかを常に考え、指名を頂くために自分のファンを作ることが重要でした。自分の美容師としての経験がきっと会社作りにも役立つと思い跡を継ぐ決意をしました。

仕事へのこだわり

美容師時代、スタイリストになってしばらくした頃に、オーナーから「お前の代わりは星の数ほどいるから、やる気が無ければ辞めてくれていい」と言われたことがあります。その時、私は指名をとるためにお客様に丁寧に対応しとても喜んで頂けているという自負があったのでとてもショックで、悲しみや怒りもあり数日は立ち直れませんでした。
その後先輩から、“オーナーの立場としては売上げもしっかり考えて、マイペースに一人の顧客に長時間接客するだけではダメだ”と解説されました。当時はまだ深くは理解できませんでしたが、ひとまず見返してやろうとやる気に火がつきました。今思うと、この時のオーナーの一撃が私の考えを大きく変えてくれたように思います。
一人よがりの自己満足な仕事では全体にとってプラスにならないこともあると知ることができました。また一方的な「よかれ」で行う行動ほど無自覚に会社に迷惑をかけることもあると気づきました。
それからは、自分にとってどうかを考えると同時に全体にとってどうかを常に考えています。全体としての目的が達成されるためには自分の欲求やこだわりを捨てることもありますが、他者の意見を受入れられる柔軟性も重要だと思います。
人を使う立場になってからは、更に組織の中での役割を考えるようになりました。個性の違う者同士が同じ目的のために集まっているのが会社ですので、それぞれがその目的達成のために必要な働きができるよう、できれば各自の得意分野を伸ばせるよう指揮しなければなりません。一つの事柄に集中、執着しぎず、俯瞰して全体にとっての最適を探ることを常に心がけています。

若者へのメッセージ

価値観や立場によって物事の見え方は違います。自分自身でも年齢を重ねるごとに同じ出来事であっても捉え方の変化があります。その時、その瞬間に感じたことは誰にとっても正しいことで、どちらかが間違っているというわけではありません。
ですから他者を批判したり否定する前に、そういう考え方の人もいるのかとまず受け取れるようになると良いと思います。それができると、まずは自分の枠が広がります。自分の頭では考えられない事を他者から学び、さらに考えを進化させることもできるからです。
世の中に誰一人として100%同じ考えの人間はいません。その中で会社や社会で多くの人と関わって行くのですから大変です。他人から学び自分自身を成長させることに生かすんだというスタンスでいれば楽だと思います。これは人の意見に左右されることとは全く違います。ベースには必ず自分がどう感じるかがなくてはなりません。その上で状況、必要に応じてベストな判断するということです。
そういう判断ができるようになるためにも、今、日常的に起こっていること全てを当たり前と思わず、疑問に思ったら探求してください。そして新しいことにチャレンジすることを恐れず、人生を楽しんで欲しいと思っています。