デンタルサポート株式会社 代表取締役社長

草深 多計志

Takeshi Kusafuka

Out of Box アウトオブボックス

草深 多計志

略歴

東京大学経済学部卒業、新卒で住友銀行に入行。カリフォルニア大学バークレー校でMBA取得、エコノミストを経て、米国ペブルビーチリゾート経営再建のため出向、米国経験通算8年。2001年にローンスターファンド傘下のPGMに転職し、ゴルフ場の買収、運営に当たる。2005年に上場、2007~2012年に社長、会長。独立後、医療関連を中心に様々な会社の経営、プロジェクトに関わる。

現在の仕事についた経緯

業種は違っても、マネジメントの基礎、経営手法、資金調達やM&Aのノウハウは同じです。基本があれば何にでも応用できます。現在の仕事と言っても複数ありますが、メインである医療機関のサポートやマネジメントも、元はある方の紹介で某医療機関を買戻すお手伝いをしたのが始まりです。
すべてはご縁、自分のアクション、そして何かあった時にご用命を頂ける人間関係が大事です。人生では、必要なタイミングで必要な人が現れます。しかし、そのためには自分が動かなければチャンスは作れません。タイミングは早すぎても、遅すぎても良くないですが、必ずドンピシャのタイミングがあるはずです。その潮時を見極めるのが大事だと思います。

仕事へのこだわり

新人時代からスタイルを築いている人は少ないと思います。しかし私は一応関西人の端くれなので、お笑い重視で、飾るのは苦手で、常に自然体でいようというのは一貫しています。きれいごとではなく、世のため、人のためにお役に立つかどうかで、自分の価値、会社の価値は決まります。そうでないと雇い主にしても、消費者にしてもお金を払ってくれないですからね。
社会人になってからは、「とにかく海外に行きたい」ただそれだけでした。社会人3年目で留学し、そこでアメリカのスタイルに大きく影響される形で、自分のスタイルが出来てきたと思います。まず、主張してなんぼ、黙っていたら何を考えているか分からないし、スルーされるだけです。しかしアメリカ人は意外にお互い忖度するし、敬語も使うし、外交辞令もあるなと思います。人種も考え方も違う人たちの集まりなので、余計にコミュニケーションが重要だと感じました。
それからペブルビーチリゾートで学んだことは、顧客満足度の重視、スタッフ満足度の重視が経営の基本だということです。これはどこの組織に行っても変わりません。ペブルビーチにいると日米の要人が次々やってきます。大切なお客様だけれど、当たり前のことなので、別にすごいとも思わないし、人間なんてそんなに違うものではないと思います。相手が前大統領だろうと、ハリウッドスターだろうと、自然体で接してきました。今は亡き、日本の某頭取が一番おっかなかったかなと思います。
あとはスピードとタイミングが仕事では重要な要素です。タイミングの合わせ方として、先を走っていながらスピードを緩めて合わせるのは楽、遅れていてはかなりの努力を要します。一瞬の油断でディールを逃すこともあります。

若者へのメッセージ

若いうちは何事もチャレンジ。失敗を恐れていては何もできないし、始まりません。特に若い時の失敗なんて、その時はとても焦るかもしれないけれど、後から振り返ってみれば大したことありません。むしろ失敗すればするほど、その情報が自分の中に蓄積され糧になります。
逆に失敗した経験が少ないと、いざという時に加減が分からないからかえって危ないです。人生100年時代と言いいます。何も挑戦せずに生きるには長いけれど、何かを成すには思うほど長くありません。後になってあれもやっておけば良かった、こんなことしてなかった、と後悔はしたくないですよね。
最近では若くして成功している(と思っている)若者も多いでしょう。そこに至る過程が問題ですが、苦労や失敗を重ねていないと、物事の半分くらいしか見えていないだろうなと思います。謙虚に周囲から学ぶ姿勢は忘れないでほしいです。
80歳でも挑戦している限りは若者だと思います。先日、今年90歳になられる大徳寺大仙院の尾崎宗園老師にお会いした際、60歳はまだまだ若い、「将来有望」と揮毫していただきました。自分もまだ若者だと思った瞬間でした。