株式会社カネシゲ刃物 代表取締役社長

河村幸祐

Kosuke Kawamura

失敗は成功の反対ではない。失敗よりももっと憂うべきは、チャレンジしないことである。

河村幸祐

略歴

1976年、大阪府出身。
横浜市立大学を卒業後、東京で大手電機系企業での勤務やカナダ短期留学を経て29歳で家業のカネシゲ刃物へ入社。
『自分が本当にほれ込んだ包丁だけをラインナップしたい』という強い想いで、30歳で自社ブランドを立ち上げる。その数年後より各国の包丁販売店から依頼を頂き、以前からの夢であった海外への輸出を本格的に始める。40歳で社長に就任。

現在の仕事についた経緯

小さい頃から実家の向かいで祖父母や両親が働く姿を見ていたので将来的には家業を継ぐことを常に意識しながらも、大学卒業後は父親の提案で一般企業に就職しました。
卒業から5年ほど経ったころ『売上の低迷する家業をそろそろ手伝って欲しい』という打診があり、家業を引き継ぐという誇りを胸に入社することを決めました。
ただ、当時の会社は昭和からの古い体質がかなり色濃く残っており、自分なりの考えで少しずつ社内を変えていきました。
商品にかける想いも、当時はお客さんに伝わるものがなかったので、『今まで誰も作ったことがない包丁を、自分のやり方でお客さんに届けたい』という想いで自社ブランドを立ち上げ、国内外への出荷を始めました。

仕事へのこだわり

一貫して、自分の信念を貫いてきたように思います。
正直なところ、特に新人の頃はそのことによって上司や先輩から好かれないこともあったように思いますが、自分の考えと合わないことをやろうとしても力が入らないですし、互いに良い結果をもたらすとも思っていませんでした。
ただいくら他人と考えが合わなかったとしても、ある程度の結果を自分のやり方で示せば、あまり問題は起きなかったように思います。

家業に戻り、自分でコントロールできる余地が増えてからは、直感をより大事にしてきました。
商品づくりで職人さんとやりとりをする時は、その方の技術はもちろん大事な要素ですが、それ以上にその方との会話で感じる『製品に対するこだわり』や『今後目指されている方向性』、『現状に対する問題意識』について深く共感できることが一番重要だと感じるようになってきました。
そのため当面の売上が見込めたとしても、共感できない(できなくなった)職人さんと仕事を進めることはしません。無理に進めても互いに不幸になるだけですし、本当に分かり合える方と協業した方が、各々の力を最大限発揮できると考えるからです。

このように、自分が信じること以外にはあまり興味がなく、社長になってからも目先の売上の増減にあまり関心を示さなかったことは、先輩後輩問わず周りの方々からよく叱られたものですが、コロナ禍になっても自社ブランド部門の売り上げが下がらず、むしろ得意先からの注文が増えるような状況を経験してからは、今までのやり方が間違っていなかったと確信できるようになりました。

これからもどんどん新しいことにチャレンジしていきたいと思います。

若者へのメッセージ

学生の頃は、スポーツ万能の人気者をうらやましく感じたり、成績さえよければよりよい未来が待っていると考えたりすることが多いと思います。
もちろんそれらができるに越したことはないでしょうし、僕自身も同じように考えていました。

でも今は、自分の趣味ですら将来の武器になるような時代に変わってきています。
『スポーツが得意なこと』や『成績がよいこと』は人生を充実させるための、世の中に無限にある手段のうちのたった2つにすぎず、それらが苦手でも落ち込む必要は全くありません。
しかもそれらは同じように得意な人が他にもたくさんいるので、それだけでは差別化にはなりにくいと思います。
『“遊びも含めて”自分が本当に夢中になれること』を突き詰めることが、充実した人生を送るための一番の方法だと最近になって特に強く感じます。
若い頃からそれを意識して行動することができれば、自分の活躍できる世界はどんどん広がっていくと思います。
僕自身も現状に満足せず、今でも夢中になれることを探し続けています。
皆さんも、できることからぜひ意識して動いてみて下さい。
そしていつかお会いして、意気投合するようなことがあれば、ぜひ一緒に面白いことをやりましょう!