神楽フィースト株式会社 代表取締役

岩永満宏

Mitsuhiro Iwanaga

ドリームアンドチャレンジ

岩永満宏

現在の仕事についた経緯

弊社は元々、港のコンテナターミナルを管理するシステムを作って提供するコンピューターの会社です。
当時社長になる予定だった方がいたのですが、その人が突然いなくなってしまったんです。そこで一緒に働く予定だった2人と、何かをしようということで会社を設立。年上だった私が社長になりました。実はその時、社会人経験がなくいきなり経営者になりました。
ある時お客様から、「ワインの酸化を抑制するものを作ってほしい」と言われたのが「神楽フィースト」の始まりです。制作を進めていたのですが、お客様が予算の都合でやめたいとおっしゃったんです。途中でやめることはできず、5年かけて「神楽デキャンタ」を完成させました。主要8か国に特許登録し、様々な展示会で賞を受賞。大手百貨店にもおいていただいています。
コンピューター事業は従業員がいますが、「神楽フィースト」は私ひとりでやっているんですよ。

仕事へのこだわりと目標

元々コンピューターのことを何もわからないまま、経営者としてスタートし、34年掛かってここまで来ました。いろいろな人に助けてもらったので、その人たちを裏切れないという一心で働いてきました。つま先まで神経が届く取り組みをしただけなんですよ。

私はもちろんワインの専門家でもありません。
しかしやるなら一流になるということを命題として持っていて、その取り組みをしています。他社がやっていない・できないことをシステム化し、ものづくりをする。
デキャンタは通常、ガラスのビンに空気を混ぜて出すものです。ヨーロッパの人には「なんでこれがデキャンタなのか」と言われましたが、今までのデキャンタに機能が増えただけなんですよね。
「神楽デキャンタ」は97%も空気との接地面をカットすることができ、1週間~10日保存が可能です。毎日飲めば、フードウエストに貢献できるんですよね。
このように大手ではできないことを、一流になるために懸命にやることで形になり、続けることができたんです。

また、日本酒やオリーブオイルも酸化しますので、「神楽デキャンタ」をワイン以外にも使ってもらえる活動を始めました。オリーブオイルは2週間で酸化が始まり、沈殿します。ワインと同等量の750ccのボトルで輸入されるのですが、日本で開封し小瓶に移し替えて販売されるんです。...ということはそのために工場を動かさないといけませんし、容器代も必要、なおかつ元のビンは捨てる必要があり、ものすごいロスです。
「神楽デキャンタ」には、まるまる入りますし、下から出すので沈殿物もたまりません。さらに3倍以上の期間使用できる。このすごさをヨーロッパ含め、世界中に伝えたいです。

そして、私は最終的に「神楽フィースト」を売却したいと思っています。
瓶を無くすために、バックインボックスでワインを販売するところが出てくると思うのですが、それをレストランに料理に合わせて30種類ほど卸す。なくなったものを補充する。
そしてこのデキャンタを、無料でレストランに貸し出せる...これができる事業者を今探しているところなんです。
その方へのビジョンも考えているので、良い方が見つければ売却しこの事業の区切りとしたいと思っています。日本国内でも、ひとりでモノは作れます。
海外に向けるために敢えて「デキャンタ」と付けましたので、世界に向けてさらにブランディングしていきたいです。

若者へのメッセージ

私は大学も出ていませんし、社会人経験もありませんでした。しかし、腹をくくって向き合った瞬間、34年掛かりましたがここまで来れたんです。助けてもらった人たちに感謝しています。
ワインに関して何も知らない私でもひとりでモノは作れましたし、ブランディングも出来ました。
私ができたのだから、みなさんにもできます。
今の若い方はとても優秀なので、勇気をもって取り組むかどうかだと思います。
辞めないこと、強いイメージを持って取り組むことが大事。
ぜひチャレンジして、世界に向けて発信していってほしいなと思います。