ヒーローウッドエンターテイメント株式会社 代表取締役社長

廣木 涼

Ryo Hiroki

世の中に笑顔を届ける

廣木 涼

現在の仕事についた経緯

マジックは高校時代から趣味でやっていました。
プロのマジシャンに転向したのは2015年のことで、私が38歳のときです。当時勤めていた会社を辞め、天職に出会うために47都道府県を巡っていた私は「この国は物質的に恵まれているのに、心が満たされていない人が多いな」と感じました。そこで、エンターテイメントであるマジックに活路を見出したんです。
マジシャンとして最初の活動は、海外でのストリートマジックでした。路上でマジックを演じてみて、チップを貰えるかどうかで、自分のマジックの価値を確かめようと思ったんですね。場所を海外にした理由は、日本よりもチップ文化が発達していると思ったからです。
また言葉が通じない分、純粋にマジックの腕前だけを評価してもらえるとも考えていました。
初日のオランダで頂いたチップは20セント硬貨(約30円弱)のみでしたが、回数を追うごとに徐々に増え、最後のロンドンでは1日80ポンド(約15,000円)ほどになりました。
帰国してからは飲食店に来られたお客様へマジックを見せる「テーブルホッピング」を中心に活動し、おかげさまで直接ご依頼を頂くことも増えてきました。
ただ、どうしてもご依頼が受けられないときに他のマジシャンを紹介すると「廣木涼が見られると思ったのに」と、ご納得頂けないお客様もいらっしゃるんですね。その点で悩んでいたところ、経営者の先輩から法人にするようアドバイスを頂いたんです。会社にすれば、弊社のマジシャンを派遣する形にできますから。
それで2019年にヒーローウッドエンターテイメントを設立しました。
現在はマジシャン業を50%、それから推理小説の執筆を50%と、自分のやりたいことを並行して行っています。

仕事へのこだわりと目標

マジシャンとして仕事をするなかで意識してきたのは「マジック業界を大きくしたい」という想いです。
というのも、お客様に「これまでプロのマジックを見たことがある人?」とお尋ねすると、だいたい20人に1人くらいなんですね。確立で言うと5%です。
つまり日本の人口が1億人とすると、マジック業界のお客さんは約500万人と推察できます。だから私が従来のマジックの現場でただ仕事をしていても、500万人の方にしかアプローチができないんですよ。
けれど路上や飲食店など、マジックのための場所じゃないところで展開すれば、残りの9500万人の方の目に留まる可能性があります。そこでマジックを見た人が良い印象を持ってくれたら、今度から「何か楽しい気持ちになりたいな」と思ったときには「マジック」という選択肢が浮かぶかもしれない。
だから、まだマジックを見たことがない人にマジックは楽しいものだと思ってもらい、ニーズをより広げていくことを常に意識しています。

47都道府県を巡ったときにも感じたことですが、皆さん「何か楽しいことがしたい」という、もやっとしたニーズはあるんですよね。ただ、それがマジックには繋がっていないというのが現状なんだと思います。
実際にマジックをお見せすると「見てよかった」と思われるお客様が多いにも関わらず、です。
だから私の課題のひとつは、マジシャンとしての活動を通じて「マジックを見たい」というニーズをはっきりと顕在化させ、かつ増やしていくことですね。
また、会社としての課題は「ヒーローウッドエンターテイメントから派遣されたマジシャンなら信用できる」と思って頂けるような仕組み作りです。たとえば「廣木さん以外のマジシャンじゃダメだ」と言われるのは光栄でもあるのですが、会社としてはそれじゃダメだろうと。
お客様から「あなたの会社のマジシャンなら誰でも安心できるよ」と言っていただけるような場所にしたいと思っています。

若者へのメッセージ

私自身プロのマジシャンに転向したときは38歳で、決して若くありませんでした。そこからオールドルーキーとしてキャリアを積んできたわけですが、やはり海外でストリートマジックをやるというスタートに大きい意味があった気がします。だから何か始めたいと思ったら、とにかく行動してみることが最も重要です。
それから実現したいことに対して、自分の行動がどういう意義があるのか、どういう段階を踏めば実現できるのかを考えてみてほしいですね。
最初からゴールが見えていないことはたくさんありますが、一歩踏み出せば見える景色は変わります。
見える景色が変われば、新たな道が見えたり、知らなかったことがわかったりもしますから。