株式会社ふらここ 代表取締役

原 英洋

Hidehiro Hara

一日一生

原 英洋

現在の仕事についた経緯

ふらここは2008年に創業いたしました。私はもともと人形師の家系に生まれ育ちましたが、ふらここで販売している雛人形や五月人形は私が新たに開発したものになります。

弊社で販売している人形の特徴は、まあるい赤ちゃんのようなお顔をしていて、非常にコンパクトな点です。人形の歴史を振り返りますと、従来は細面のうりざね顔で、平安時代を中心とした公家顔が中心でした。そして、おじいちゃんやおばあちゃんが可愛い孫のためになるべく大きなもの、豪華なものを贈るということが主流だったと思います。しかし核家族化が進むことで住むところもだんだんと狭くなり、現在は若いお父さんお母さん達が自分の好みで五月人形や雛人形を選ぶことが多くなりました。すると、従来の人形のスタイルではなかなか今の時代に合わないのです。まず人形の見た目が若い方の好みでなかったり、飾るのに手間がかかったり、収納に困るといった問題がありました。

そこで、親が経営していた人形店に改革の必要性を訴えたわけですが、これまでの伝統や作風を壊してまでそんなことはできないと猛反発を食らったわけです。しかし私はどうしても自分が目指すものづくりをしたかった。それで両親に相談をし、独立するに至りました。

当時はうまくいくはずがないと皆から思われていましたし、職人からも「おもちゃみたいですね」なんて言われたりもしました。しかしなんとか協力してくれる職人を探し出し、実際に販売してみると、有難いことに初年度から大変好評を頂きました。そして、その後も順調に業績を伸ばし続けています。

仕事へのこだわりと目標

日本の伝統文化の上で仕事をしていますので、もちろん伝統をきちんと守っていくことも我々の大切な使命です。しかし伝統を長く継続させるためには、それぞれの時代に合ったものづくりが必要です。そのため、弊社の人形開発は20~30代の女性スタッフが中心となって企画を進めています。人形を購入してくださるお母さま方と同世代のスタッフからアイデアを出してもらうことで、時代のニーズに合ったものづくりができると考えているからです。

今後の目標は二つあります。
一つは、今までにないような新しい人形を開発することです。
日本には雛人形、五月人形をはじめとした人形文化が世界のどの国より根強くあります。世界の人形文化は呪術、祈祷が起源のものが多く、今現在は祈祷として残っていたり、玩具として残っているものが大多数です。しかし日本はそのどちらでもない、観賞用の人形を飾って楽しむということが当たり前にできる類まれな国なんです。文化を探ればまだまだいろんな種類の人形があります。そのひとつひとつを掘り起こして、時代に合うような形で生まれ変わらせたい。そういうプロジェクトを今進めているところです。

二つめは、雛人形、五月人形を後世に残していくことです。
伝統文化は多くの人に親しまれて、初めて普及していくものだと思います。ですから、いかに多くの人達に愛される人形を作るか、それが重要ですね。業界自体は斜陽産業に達していますし、作り手の高齢化や後継ぎの問題もあります。今後の課題はこれからを担ってくれる若い職人さん達をどれだけ育成できるかといったことになるでしょう。そのためにも、若い方が希望を持てるような業界にしていかなくてはなりません。今のものづくりを通じてお客様に好まれる商品を作り「そんなに売れるんだ」と興味を持ってもらえば、職人を志すきっかけになるかもしれない。
人形は日本の素晴らしい文化です。世界から日本は素敵な文化を持った国だとわかってもらうためにも、一層の努力を続けるつもりです。

若者へのメッセージ

今の世の中は大変便利になりました。なんでも手に入りますし、ネット検索をすればどんな情報でも知ることができます。しかしそれだけに、いろんな選択肢がありすぎて自由の中に埋もれやすい環境かなとも感じています。
「あれもしたい」「これもしたい」と力が分散してしまって、なかなか一つの物事を継続するのが難しい時代なのではないでしょうか。
しかし私自身は、継続は何物にも勝る力だと考えています。だから若い方には、自分が決めたことを何か一つやり続けて、本当のスキルを身に付けてほしいですね。一朝一夕に身に付くスキルというのは大したものじゃないんですよ。だからとにかく継続すること。そういう姿勢を若いときから持っていれば、必ず「やっておいてよかった」と思える時が来ます。