エモリファンドマネジメント株式会社 代表取締役

江守 哲

Tetsu Emori

やりたいことをやる。ただし、それが人のためになっているかを考えよ

江守 哲

略歴

慶応義塾大学商学部卒業。
新卒で住友商事株式会社に入社。ロンドン駐在を経て、現地会社に転職。日本人は自分だけという環境の中、世界トップレベルのトレーディングを学ぶ。
帰国後、日本で最初の「コモディティ・ストラテジスト」に。外国籍のヘッジファンド運用のチーフファンドマネージャーに就任し、リーマン・ショックの年に多額の利益を上げる。
その後独立し、現在は投資情報を発信するとともに、投資教育にも力を入れている。
著書に「米国株は3倍になる」(ビジネス社)、「金を買え」(プレジデント社)など多数。

現在の仕事についた経緯

新卒で商社に入社し、ロンドン駐在を目標としていました。配属先が非鉄金属を扱う部署で、ロンドンで取引されていました。幸運にもその仕事に就くことができ、6年目の終わりに駐在となりました。
しかし、上司の行っていた取引で巨額損失が発生していたことが判明し、その処理を行った後、ロンドンで会社を辞め、当時の世界最大のトレーディング会社に運よく転職できました。日本人は私だけでしたが、本場のトレード技術を学ぶ機会に恵まれました。
帰国後は、トレーディングから市場分析の仕事に軸足を移し、日本で最初の「コモディティ・ストラテジスト」になりました。
その後、ヘッジファンドを立ち上げ、コモディティに特化したファンド運用のチーフとして仕事をしました。リーマンショックの年には、多くのファンドが閉鎖に追い込まれる中、収益を上げることに成功しました。
その後、独立し、現在の会社を立ち上げ、投資情報を発信するとともに、会社の資金の運用も行っています。
最近では、個人投資家の投資教育にも携わっています。もともと、就職時に教員になることも検討したほど、人に教えることが好きであることが、今の仕事につながっている部分があると思います。

仕事へのこだわり

私の考えは、人のやっていないことをやる、それも自分のやり方でやるというのが基本です。
したがって、入社した当時から、最初は先輩の仕事のやり方を見ながらやっていましたが、すぐに自分なりの方法に修正してやるようにしていました。
とにかく新しいことをすることが好きで、新しいビジネスの発掘や立ち上げなどを転職先の会社で積極的に展開していきました。その結果、業界でも知られる存在となり、メディアの取材等を受けるまでになりました。
単純に目立ちたがり屋なのかもしれませんが、人と同じことをすることがそもそも好きではないというのがあります。その意味では、独立も自然な流れだったのかもしれません。行く先々の会社では、上司の言うことをほとんど聞かない、会社にとってはやっかいな社員だったと思います。
とにかく、一つのことを覚え、次のことを覚え、上司より理解があると感じたら、その会社を辞めるというポリシーで仕事をしてきました。今から考えると無謀な考えかもしれませんが、自意識過剰だったのかもしれません。
しかし、そのように考えていたことで、様々なことを学び、実行するというプロセスを自然と身に付けたように思います。その結果が、今の業界内でのトップのステイタスの確立につながったのだと思います。
いまは、やりことをやりたいようにやり、それが人のためになっているかを確認しながら仕事をしています。好きなことをやっていますが、それはお客様あっての仕事です。お客様が喜んでいる姿を想像しながら、新しいことにチャレンジしています。

若者へのメッセージ

自分が何をしたいのかを、早く見つけることです。他人任せではどうしようもありません。
その一方で、自分ではどうしようもできないことも多くあります。私もそうでした。回り道をするようでも、我慢した方がよい時もあります。
また、周りから頼られる存在になることも重要です。周りがあなたに求める仕事は、必要だからでしょう。
私は基本的に、自分のやりたいことをやりたいようにやろうとしてきました。今はそれがかなりの部分で実現できていますが、最初からそうだったわけではありません。
与えられた仕事を着実・確実にこなし、実績を作り、信頼を得ることに成功したからです。その領域に行くには時間がかかります。自分が望んでいない仕事でも、まずは受け入れてやってみることです。自分がやりたいことでも、それが自分に向いているかはわかりません。やりたいことを優先したいところですが、まずは自分には何が向いているかを探すようにしてください。それは、意外に周りの人がわかっていると思います。そのうえで、徐々に自分のやりたいことが徐々にわかってくると思います。そうなれば、最初にお話しした「自分が何をしたいのか」が見えてきます。
ぜひあらゆることにチャレンジしてください。最初は拒絶せず、トライしてみる。そうすれば、いずれ将来の自分の姿が見えてくると思います。