株式会社ジェイ・ビー・クラフト 代表取締役

荒木 智

Satoshi Araki

継続は力なり

荒木 智

現在の仕事についた経緯

もともとSE(システムエンジニア)をやっていたのですが、当時はバブル全盛期で、ほとんどのシステム開発会社は今で言うブラック企業状態でした。バブルで仕事は山の様にありましたので、会社は技術力が全く無い人間もどんどん採用していました。それでも開発に必要な人員は全然足らず、全員が毎日終電まで働き、徹夜も日常的にあった時代でした。私も第一線で開発を行っていたのですが、当時は開発経験がほとんど無い技術者がプログミングを行っていたこともあり、開発が完了してもまともに動かないシステムが往々にしてありました。当然、お客様が満足される訳も無く、クレームを聞かされる技術者達はプライドを持てない中でハードワークに励んでいました。
日経コンピュータで「動かないコンピュータ」シリーズの連載が始まったのもこの時代です。
毎日必死で仕事をしてもお客様に喜んでもらえず、プライドも持てない。こんなことではダメだと、当時私が所属していた会社と話し合いを重ねたのですが、それでも会社としては利益が出続けていたものですから、なかなか方針を変更して貰うことも出来ませんでした。それなら自分で何とかするしかない、技術者がプライドを持てる会社を作りたいという思いで創設したのが弊社です。

仕事へのこだわりと目標

弊社は設立当初から一貫して「顧客第一主義」をモットーとしています。我々が何が出来るのかということよりも「お客様の真の課題・問題は何なのか」、「最終的に自社はどうありたいと思っておられるのか」が最も大事な視点です。
私達はお客様からのご要望ではなく、弊社発信の企画としてソリューションを作ることもあります。自社企画においても出来るだけ多くのお客様からご意見を頂き、最大限お客様に喜んで頂きながら、そこにいかに我々のオリジナリティのあるアイディアを詰め込めるかというところで競業他社との差別化を図っています。

現在、我々が一番力を入れて取り組んでいるソリューションは、TOMASという自動配車サービスです。運送業界では数年前から少子高齢化により人材不足が深刻化しています。ドライバー不足だけではなく、ドライバーのスケジュールを組む配車マンの後継問題も大きな課題です。現在、配車マンの多くが高齢化しているのですが、配車マンの業務は職人技的な要素が多く、後継者を育てることが非常に困難な職種であり、多くの運送業に携わる企業が頭を痛めています。それに加えて国からは「コンプライアンスの厳守」、「働き方改革による労働時間短縮」を求められており、まさに4重苦の状態にあります。

自動配車ソリューションTOMASはこれらの課題を最適化ソリューションを用いた自動配車機能で解決すべく開発したものです。TOMASをご利用頂いたことでドライバーを2割削減した企業や、利益率を20パーセント改善した企業、配車マンの数を半減した企業などの実績を出しています。自動配車ソリューションTOMASは自社で3年の歳月を掛けてベータ版を作成した後に、大手運送会社様との3年間の共同研究を経てようやく完成した仕組みです。今も日々お客様からのご意見や独自のアイデアを詰め込みながら改良を続けています。1つのことに集中してやり続けていることで他者にはできないソリューションを提供できていると思います。

弊社の自動配車ソリューションは配車エンジン、スケジュールエンジン、スマホエンジンの3つのエンジンを元に様々な業種に向けてカスタマイズして提供しています。すべてのお客様の細かなご要望、要件を満足する為に、時間を掛けて開発をしていますので、ひとつのシステムを完成させるのには多くの時間が掛かるのが現在の課題でもあります。今後は多くの企業様のご要望を取り入れながら、汎用化出来る部分を増やすことでより多くの企業様のお役に立てるようにしていきたいと考えています。

若者へのメッセージ

若い方たちには是非、自分のアイデアを形にすることに取り組んでいただきたいです。
今は、私の若い頃よりも、技術もビジネスも発展していて、もう新しい取り組みをする余地が無いと思っておられる方も多いかと思います。しかし変化しているのは技術だけで無く、周りの環境や人々の考え方も昔とは大きく変わって来ています。
現在は、インターネットやSNSを通して、従来よりも「個」が輝ける時代になってきていると思います。
ビジネスも細分化され、小さなビジネスでもきちんとお金になる時代になってきています。
皆さんの思い付きや小さなアイデアからでもビジネスを始めやすい時代になってきています。
資金がなくてもクラウドファンディングや新規事業向けの公的融資などがあります。
大きなリスクを取らずに、まず自分で出来る範囲でやってみてほしいですね。
仮にチャレンジして失敗してもそれを許す寛容な社会になってきているので、どんどんチャレンジしていってください。