株式会社ゴエンアップ代表取締役

青木 千秋

Chiaki Aoki

合理性と客観的事実を徹底的に追求する

青木 千秋

略歴

学生起業家。古着業界におけるアービトラージのポテンシャルの高さに着目し、学生時代に古着・アパレルの販売で起業。新卒でファーストリテイリング(ユニクロ)に入社。入社半年後の店長試験を全国1位で通過し、着任後すぐの売上達成率が全国840店鋪中7位を記録。
2014年にブシロードに入社し、
営業マネージャーとして単月10億以上のギネス売上を達成。開発プロデューサーとして、マーケティング、広報PR、企画全てを担当、各メーカーとのアライアンスを次々に手がけていった。ブシロードのコンテンツ活用のためのMD会社であるブシロードクリエイティブの設立にかけ、代表取締役に就任。
起業の準備のために、2017年に不動産テックベンチャーのイタンジに入社し、営業、CS、マーケティング、プロモーションなど、独自の手法で進め、僅か2年でSaaSの単月売上を5倍にする。2019年より同社執行役員に就任し、経営戦略、営業企画、新規事業開発を統括。
2019年に株式会社ゴエンアップを設立。「ビジネスは、社会課題を解決するためにある」という理念の元、今の日本においての社会課題の一つである「少子高齢化、生産年齢人口の減少」という部分に着目し、解決の切り口の一つである外国人採用にフォーカスを当てて、外国人採用のマッチングプラットフォーム「Goandup」を企画運営。

現在の仕事についた経緯

私のコンプレックスからくる経験が大きく影響しています。
青木家はいわゆる”優秀”とされる人間が多い一族です。父は多角経営者で特許もいくつか持っています。父方母方どちらの祖父も経営者と商売家系で、兄も皆高学歴で”優秀”です。長男は名古屋大学の医学部、次男は東北大学、三男は東京大学で全員が旧帝大です。私は昔から兄弟という身近な存在と比較されることでコンプレックスを抱えていて、特に学歴では親から他の兄弟の様に期待されていたにも関わらず、兄弟の様には結果を出すことができませんでした。
「学歴では敵わなかった分、仕事では見返したい」という気持ちを持って、他人から見て”良い”とされる会社で、”良い”とされるキャリアを目指すようになりました。そこからは憧れた”良い”キャリアを得ることはできましたが、年収や肩書きを手にしたものの、成功感を覚えることはありませんでした。
そんな時に、出世や年収のためでなく、ITサービスを作って楽しみ、それによってビジネス的にも成功して、何十億という資産を築いた人たちと出会うことがありました。彼らと話すことで、自分の仕事へ考え方が、いかに浅はかだということを痛感しました。そこからは考えが一気に変わって、やりがいを感じるには自らがサービスを興す必要があると気づき、「年収や肩書き」ではなく「負の解消」や「社会課題」でビジネスを推進していこうと思いました。お金は自ずと後からついてくるものだ考えられるようになったんです。
起業にあたりいくつかビジネスのアイデアはあったんですが、少子高齢化・生産年齢人口の減少で採用がうまくいかず、人材募集をかけても、日本人がなかなか集まらないということに頭を抱えている社長を多く見かけました。
「それなら外国人労働者を雇用しよう」と考えるものの、どこで出会えるのか、ビザはどうしたらいいのか、文化の違いなど採用雇用のハードルが高く、ブローカーみたいな人に法外な金額で採用をお願いしていることを知りました。
国内留学生含めて、アジア諸外国には、日本で働きたいと思う優秀な外国人が多くいるにも関わらず、適切なマッチングが行われていないせいか、歪んだ商取引になってしまっています。その部分を解消することができれば、雇う側も雇われる側もより幸せになれるし、人材不足という避けられない日本全体の社会課題を解決できるチャンスがあるかもしれないと思い、このサービスを立ち上げることを決意しました。

仕事へのこだわり

5つのフィロソフィーを大事にしています。①合理性の追求、②優れた人材の追求、③高い倫理規範の追求、④客観的事実の追求、⑤社会課題の追求、の5つの軸を持って仕事をしています。
会社には無駄と思えるシステムが多いと感じることがあります。目に見えて分かる販管費だけでなく、文化風習など見えづらい部分においても、人のマインドは仕事以外に使われていることが多々あります。
ゴエンアップでは、自社サービスを良くすることだけに時間を割きます。それ以外に発生する業務は、徹底的に省くことを心がけています。
その合理性の追求は、会社内で起こる全ての事象に関して適応させており、例えば社長と社員の関係性も合理的に双方が判断し合います。経済条件やスキルアップなど、ゴエンアップで働くことのメリットデメリットを双方で判断してもらい、客観的に判断できる経済条件とアウトプットを与え合う関係性を作り上げていきます。
結果的に、社員は自分のスキルアップのために仕事を精進し、実践した結果を振り返り、自分の間違いを見つめ直す「追求の姿勢」を大切にする社員が多いです。
そういったメンバーが集まっている訳ですから、社会に胸を張れるサービスを作っていきたいと思うのは自然なことです。つまり、倫理観というものを大事にしています。どういうことかと言うと、資本主義なので、売上利益はとても大事ですが、「儲かれば何でも良い」という気持ちで、嘘に近しいことを言って契約を獲得して欲しくないですし、無駄な機能を作ってクライアントに余計なコストを払わせるサービス開発をして欲しくないです。社長は売上達成のために社員を酷使して働かせるなんて言語道断です。犠牲を伴っての右肩上がりの成長曲線を謳う状態が正しい経営のあり方だと思っていません。
社会のニーズをきちんと捉え、気合と根性で何とかするのではなく、自分たちの作ったサービスのアウトプットの良し悪しをマーケットに聞き、その事実を真摯に受け止め、改善を繰り返す。それが日本の社会課題の解決に繋がっていくとしたら、楽しくないですか?

若者へのメッセージ

今の常識は、5年後、10年後に非常識になるかもしれません。
今の優良企業は5年後、10年後に衰退しているかもしれません。
今、すごいと言われている資格は、5年後、10年後に何の価値も持たないかもしれません。
人の価値観も、社会が求めている能力も、その時折で変化していきます。
これからIT技術がもっと進化して、AIやブロックチェーンの技術が当たり前になり、仕事がもっと簡素化されていくと思います。
今までは「仕事ができる」=「早い・正確・真面目」などという言葉で例えられましたが、早さや正確さはITに敵うはずがないので、これから仕事に求められていくのは「面白い」とか、別の言葉で置き換わるかもしれません。
未来がどう変化するか分かりませんが、変化に順応していくためには、常に今までの自分の固定観念を柔軟に変化させていってください。
学生時代に馬鹿にしている人や、下に見ていた人が、自分より遥かに成功するかも知れません。真面目に努力して積み上げてきたのに、チャランポランに生きている人に負けるかもしれません。そんな時、自分が勝手に作り上げた固定観念で判断して、相手を認めないのは非常に勿体無いです。
「勉強して、いい大学に入って、いい企業に入れば安泰」、「私が若いときは、こうするのが一般的だった」、「今の若いやつらは。。。」等という言葉に自分の気持ちを押し殺したり、一喜一憂したりする必要なんてありません。自分の人生ですから、自分のやりたいことを我慢せず、思う存分楽しんだ方が良いですよ。
どうせ常識や価値観なんて変わるんですから(笑)
他人に迷惑をかけずに、気楽に生きたらいいんですよ。