株式会社ファーストシーン CEO

塀和壮一

Souichi Haga

開放・感動

塀和壮一

現在の仕事についた経緯

小学校、中学校時代から不動産業を開業しようという考えがあって、大学時代から具体的に勉強をしていました。というのも、祖父が京都から東京に出てきて池袋などに不動産を買い進めていて、その後のバブルで何十万、何百万の土地が何十憶に。私は幼いころからそれを見ていたのです。不動産をきっかけに資力をつけて、社会的に影響力の強い事業を多角的に経営したいという気持ちを持っていました。
大学の頃は、学生起業も様々に行い、雑誌で取り上げられたりすることもありました。27歳くらいで、学生時代から経営していた建設会社を売却し、新しく不動産会社を立ち上げ不動産業に力を入れることになります。しかし業績を順調に上げIPOを目指していた時、リーマンショックに遭い倒産の危機を経験しました。経営を立て直してからは原点に戻り、社会のために自分のできることを考え、障害を持った子供たちのための放課後デイサービス事業などを運営する療育専門の会社を設立しました。

仕事へのこだわりと目標

私は、ビジネスの理想について、システム論と開放論という説明をします。
例を出すと、現在、宅配便など800円、1000円で全国に翌日に荷物が届きますが、そのシステムを作った人はやはりすごいと思いますよね。小さい会社であっても、そのような世の中にとって良いシステムを作ることができれば大きな社会貢献になります。
もう一つは開放論。人は知恵や知識を与えると、無知の領域から開放されます。人が騙されるのは情報に差があるからで、知識を与えれば「もう騙されないぞ、もう泣かないぞ」と開放されます。ブラック企業は労働者や消費者に弱者を作り出し、弱者のままにしようとするわけです。情報により人を開放し、社会に良い影響を与えるのが仕事です。システム論も開放論も実践は難しいことですが、常に心がけています。

現在、子どもさん100人のうち6人ぐらいが発達障害などを抱えていると言われています。しかしそれは悲観したり隠したりすることではありません。マーク・ザッカーバーグやスティーブ・ジョブズら、才能にあふれる世界的な人物も、ADHDを告白しています。0歳からちゃんと療育する環境が必要です。しかし日本には、24時間保育など、健常者の方であれば利用可能な施設が、障害を持っているお子さんの場合、選択肢が狭くなります。私たちのサービスは、その不足する領域で展開して行きたいと考えています。
課題は社会的認知です。障害に関する様々なことが社会的に認知されないと、ご家族の方も悩むばかりであり、私たちのサービスを利用することもできません。また、採用の面でも、優秀な人が他に流れてしまい、私たちの元には来なくなってしまいます。高い志をもっている人が入ってくることができないわけです。サービスの面でも、情報の面でも、障害をお持ちの方がスムーズに療育を受けられる仕組み、フレームを作りたいと思います。

若者へのメッセージ

成長の近道は、メンター、お師匠さん、アドバイザーのような人を探すことです。本やYouTubeではわからないことが、人と語り合うことにより見えてくるものです。「先に生まれる」と書いて先生と読みます。年上の人と臆さずガチンコで話してみてください。「そういう視点があるんだ」「そういう角度で考えればいいのか」あるいは「それは間違っている」などなど、反面教師であっても得るものはあります。
そしてゆくゆくは自分自身も、人に新たな情報、視点を与えられる人になることです。開放論というお話をしましたが、危機的な場所から開放されると、感謝、感激、それ以上の「感動」を人に提供することができます。人を情報弱者の領域から、知恵、知識により開放してくれる開放者、感動される人になってほしいと思います。