株式会社APOLLO一級建築士事務所 代表取締役
黒崎 敏
Satoshi Kurosaki略歴
建築家。1970年金沢市出身。明治大学理工学部建築学科を卒業後、大手メーカー、設計事務所勤務を経て2000年に自身が主催するAPOLLOを設立。
ミニマム&モダンラグジュアリーをテーマに、邸宅、ヴィラ、リゾートホテルの設計の他、企業の商品開発やブランドのデザインに関わる。
これまでの20年間でつくりあげた建築は国内外で200を超え、世界三大デザイン賞の一つであるIF DESIGN AWARDやWallpaper Design Award、German Design Award、Iconic Awardなど受賞も多数。
慶應義塾大学理工学部非常勤講師。
ミニマム&モダンラグジュアリーをテーマに、邸宅、ヴィラ、リゾートホテルの設計の他、企業の商品開発やブランドのデザインに関わる。
これまでの20年間でつくりあげた建築は国内外で200を超え、世界三大デザイン賞の一つであるIF DESIGN AWARDやWallpaper Design Award、German Design Award、Iconic Awardなど受賞も多数。
慶應義塾大学理工学部非常勤講師。
現在の仕事についた経緯
私は建立425年の金沢にあるお寺で生まれました。美しい山並みや河原の風景、伝統的な街並みの中でゆったりと過ごした影響からか、幼少期は建築職人に憧れました。
高校時代に建築家チャールズ&イームズの科学短編映画「POWERS OF TEN」を観たことをきかっけに、小規模な家具、プロダクトから大規模な都市計画まで、あらゆる世界を横断しながら統合していく建築家という職能を知り、次第に憧れを抱くようになりました。
バブル経済時代の影響もあり大学時代は大規模な都市計画に傾倒した時期もありましたが、2000年にデビュー作となる都市生活者のための小住宅「SEVEN」をつくりあげたことをきかっけに、都市住宅に存在する濃密な生活文化に興味を抱き、住宅を中心に本格的な設計活動を開始しました。
高校時代に建築家チャールズ&イームズの科学短編映画「POWERS OF TEN」を観たことをきかっけに、小規模な家具、プロダクトから大規模な都市計画まで、あらゆる世界を横断しながら統合していく建築家という職能を知り、次第に憧れを抱くようになりました。
バブル経済時代の影響もあり大学時代は大規模な都市計画に傾倒した時期もありましたが、2000年にデビュー作となる都市生活者のための小住宅「SEVEN」をつくりあげたことをきかっけに、都市住宅に存在する濃密な生活文化に興味を抱き、住宅を中心に本格的な設計活動を開始しました。
仕事へのこだわり
時代により刻々と移り変わる現代社会において、人々の生活文化をつくりあげる住宅デザインという仕事の意義は大きく、奥深いものであり、生活者の数だけ正解があります。
我々建築家は、時代の空気を嗅ぎ取り、生活者の心の声に耳を傾け、敷地環境をつぶさに観察し、それらを丁寧に読み解くところから仕事が始まります。
次第に生活のコンセプトや環境としてあるべき姿が輪郭として浮かび上がり、それらを空間として表現しながら、沢山の職人とともに時間をかけてつくりあげる建築家の仕事は映画監督やオーケストラの指揮者にも似ていると言えるでしょう。
また、建築家は絵師でもあり、医師でもあります。芸術と技術の領域を横断しながら、究極の美意識やバランスを見極め、的確に選択、決定を続けなければよい建築までたどり着くことができません。
そのためには専門の内外を問わずあらゆることに興味を抱き、精通しながら、様々なプロジェクトを介して実践していくことが必要になります。
仕事のみならず、旅をしたり、歴史を学んだり、自然を感じたり、人と会ったりしながら、様々なコミュニケーションを通してインプットを繰り返すことで、良質なアウトプットができることも分かってきました。
建築とはまさにコミュニケーションという行為の集合体であり、設計図はオーケストラの「楽譜」のようなものです。携わるもの同士がどれだけ時間を共にし、正確に共有し、阿吽の呼吸が生まれるかでその成否が分かれるのだと思います。
我々建築家は、時代の空気を嗅ぎ取り、生活者の心の声に耳を傾け、敷地環境をつぶさに観察し、それらを丁寧に読み解くところから仕事が始まります。
次第に生活のコンセプトや環境としてあるべき姿が輪郭として浮かび上がり、それらを空間として表現しながら、沢山の職人とともに時間をかけてつくりあげる建築家の仕事は映画監督やオーケストラの指揮者にも似ていると言えるでしょう。
また、建築家は絵師でもあり、医師でもあります。芸術と技術の領域を横断しながら、究極の美意識やバランスを見極め、的確に選択、決定を続けなければよい建築までたどり着くことができません。
そのためには専門の内外を問わずあらゆることに興味を抱き、精通しながら、様々なプロジェクトを介して実践していくことが必要になります。
仕事のみならず、旅をしたり、歴史を学んだり、自然を感じたり、人と会ったりしながら、様々なコミュニケーションを通してインプットを繰り返すことで、良質なアウトプットができることも分かってきました。
建築とはまさにコミュニケーションという行為の集合体であり、設計図はオーケストラの「楽譜」のようなものです。携わるもの同士がどれだけ時間を共にし、正確に共有し、阿吽の呼吸が生まれるかでその成否が分かれるのだと思います。
若者へのメッセージ
好きなことを仕事にすることはとても大切ですが、仕事は好きなことばかりで構成されているとは限りません。その仕事を好きでいるためには、好きでないことを少しでも好きになる努力や、興味深いものとしてとらえる想像力や好奇心が必要になります。
また、仕事をする理由はお金のためだけではありません。むしろ私は一生続けることができる仕事を選ぶことのほうが大切だと感じます。我々のようなクリエーターも人や社会の問題や要望がなくなれば引退ですが、要望がある限り続けることが可能になります。
現実的には社会や人の問題や要望がなくなることはありえませんので、我々には引退はありません。仕事の報酬はお金ではなく、仕事の報酬は仕事なのです。
それからもうひとつ大切なことがあります。本来、仕事にはあまり個性や自分らしさは必要ありません。なぜなら仕事は自己満足ではなく、他者や社会にしか評価されないからです。
しっかりと他者に伝え、次代に残していくことが必要であり、それぞれの立場で地道に続けて欲しいと願います。仕事が使命に変わったときに、その仕事は本当に自分らしく、個性的であったと評価され、この上なく楽しいものになると思います。
また、仕事をする理由はお金のためだけではありません。むしろ私は一生続けることができる仕事を選ぶことのほうが大切だと感じます。我々のようなクリエーターも人や社会の問題や要望がなくなれば引退ですが、要望がある限り続けることが可能になります。
現実的には社会や人の問題や要望がなくなることはありえませんので、我々には引退はありません。仕事の報酬はお金ではなく、仕事の報酬は仕事なのです。
それからもうひとつ大切なことがあります。本来、仕事にはあまり個性や自分らしさは必要ありません。なぜなら仕事は自己満足ではなく、他者や社会にしか評価されないからです。
しっかりと他者に伝え、次代に残していくことが必要であり、それぞれの立場で地道に続けて欲しいと願います。仕事が使命に変わったときに、その仕事は本当に自分らしく、個性的であったと評価され、この上なく楽しいものになると思います。