ワシントン大学卒業後、JP Morgan、Commerce Bank（現TD Bank）を経て、Bank of Americaに転職。2007年、歴代最年少で営業成績全米1位を獲得し、30代前半の若さでVice Presidentに就任。同年、アメリカンドリームに挑戦しようと渡米する人を応援したい思いからPursue Your Dream Foundationを設立。2009年末、日本支店としてPYD Japanを設立。
金融、IT、メーカーなどあらゆる業界を対象に、社長・役員のためのエグゼクティブコーチングから、マネジメント研修、新人研修まで幅広く指導を行う。本業と並行して行う少年サッカーのコーチ歴は20年以上。現在は、人材育成分野に加えて、企業の海外進出支援や個人のスポーツ選手や芸能人向けのエージェント事業を提供。

私はニューヨーク・タイムズスクエア地区で、日本人両親の家庭に育った日系アメリカ人です。
小さい頃からアメリカにいれば日本人として見られ、日本にいればアメリカ人として見られるコンプレックスをバネに、日米社会に何か貢献する事ができる人間を目指そうと、大学卒業後はニューヨークで金融の世界に就職をしました。ニューヨークはいろんな人種、国々の方が集まる独特な開放感があり、訪れる人をワクワクさせますが、いざ人々がこの地で各々の夢に向かって挑戦しようとすると、非常に困難な局面に立たされてしまうのを日本人に限らず多く見てきました。
そのような傾向の中に、かねてより考えていた自分なりの社会貢献活動の実現化へのヒントを発見し、バンク・オブ・アメリカに在籍しながら、2007年にリーダー育成スクールを運営するNPO法人Pursue Your Dream Foundationを設立しました。その後、日本支店としてPYD Japanを設立し、1人でも多くの日本人が世界に旅立ち、活躍していけるように自らの経験・考え方をシェアし続けています。

私がキャリアを積む中で基本としていたことの一つに、「人を選ばない」という点があります。
お客さんによって、「この人には良くしよう」「この人は大事にしない」などという営業はしません。なぜなら、全ての人に向き合うことによって、「自分が選ばれる」ためのチャンスが増えると信じているからです。
私は過去、融資の獲得に苦戦しているお客様に出会いました。結局融資を実現することは叶わなかったものの、1時間以上にわたって彼の話を聞き、なんとか融資出来ないかと出来る限りを尽くしました。すると後日、そのお客様の伯父だという方が訪ねてきました。お客様が私の懸命に動く姿を見て、伯父に私のことを話したのです。その方は夫婦で大きな病院を経営されている方でした。私はこのような「人を選ばない」姿勢で新たな思いがけぬ出会いを幾度と経験してきました。

もう一つ、私が大事にしてきた行動指針が1つあります。それは、「人がしないことをする」ということです。
長期的に見れば自分の財産になるようなことも、面倒な事だと多くの人はやろうとしません。お客様の細かい要望や相談に応えることや頻繁に連絡をして関係を深めることも手間がかかります。でも私は、そういうことこそやるべきだと考えていて、愚直なまでにしつこく人がしないことも実践し続けてきました。交友関係が広がると、知り合いから営業メールが多く届きます。その際も私は丁寧に断りの文を作って送っています。この細かいやりとりが相手との交友関係を保ち、何年もの時を経てどこかで身を結ぶことがあるのです。無駄な行為に終わってしまう可能性があったとしても、人がしないことをすることによって、チャンスを増やすことができます。

最後に、日本人らしい丁寧さ・周囲へのリスペクトや思いやりを決して忘れずに大事にしてきました。
例えば、学校を使う際もアメリカでは清掃員兼警備員の方がいらっしゃり、どんなに汚く使われたロッカーも掃除していただけました。そんな中でも私はロッカーを綺麗に使用するように努めた上で、いつも必ず感謝の言葉を伝えていました。その結果、学校が閉まった後に忘れ物に気付いた日があったのですが、その警備員の方が特別に入り口の鍵を開けてくれたのです。これはビジネスでも同様で、いかに周りの人や次に引き継ぐ人が仕事をしやすいようにするか、周りや先輩を立てる姿勢を持つことにより、先輩が成功して評価された際に、私も評価して頂くことができました。周囲への思いやり、自分以外の人を立てる姿勢が、後に自分に良い形で帰ってくるのです。