大学卒業後は、百貨店に入社し大半を過ごしたバイヤー時代。主にスポーツ商品を取り扱っていました。海外出張が非常に多くて、ヨーロッパを中心に飛び回っていましたね。当時ミュンヘンで大きな展示会があり見ていると、隣の会場で電子機器の展示会をやっていたんです。その時にレーザー加工機もあったんですが、当時は「光が彫刻をしたり切断をしたりするんだ」という程度の認識でした。
それから約10年後に転職したんですが、起業について考え始めたのはその頃ですね。たまたまある知人から「レーザー加工機を扱ってみないか」という話があって、ミュンヘンの記憶とリンクしましたし、レーザー加工機が持ってる無限の可能性みたいなものに惹かれました。それで50歳になるちょっと前くらいに株式会社ユー・イー・エスを立ち上げたんです。レーザーって遊び心がないとただの鉄の箱なんですよ。「こんなものも作れるんじゃないか？」という発想の柔軟性が大切なんですが、そういう意味で言うと、僕は百貨店にいた25年間の経験が非常に役立っていますね。

既存の枠組みに捕らわれないっていうことが一番大切かと思います。新しいものや、みんながあまりやってないものに目を向ける。それからみんなが嫌がるものですね。嫌がるということは難しいから誰もチャレンジしないわけです。そこにビジネスチャンスが眠っていたり、ブルーオーシャンがあったりするんだと思います。
また、アイデアや遊び心も大切にしています。アイデアは意外に仕事の中からは生まれないんですよね。仕事中はやっぱり一生懸命に考えてしまうので、四角四面な考えしか浮かばないんだと思います。僕はゴルフ中や温泉に浸かっている時など、頭がクリーンな時にパッと浮かびます。そういうときはすぐにメモを取って、どういう形にするのか後でじっくり考えますね。これは社員にも言っていることですが、ワクワク感がないと仕事って面白くならないんですよ。仕事を作業として終わらせるのか、本当の意味での仕事として完成させるのかで、出てくる結果も全然違いますから。だから遊び心って大事なんです。

今後は、株式会社ユー・イー・エスという枠組みから飛び出した、1つのコンセプトグループを作りたいと考えています。ユー・イー・エスはレーザー加工機の輸入販売を行う会社なのですが、それだけだと同業他社との差別化がなかなかできないんですね。そこで弊社では、加工用商材や加工方法などのノウハウを色々入れこんで「レーザースタイル」という名前で商標登録しました。今もレーザー加工機の無限のポテンシャルを探り続けています。将来的には「レーザースタイル」を独立させられるくらいにしたいし、展示会でもそこに力を入れていますね。
また、人材教育も視野に入れています。弊社は来年20年目を迎えるんですが、ここ数年、会社の成長スピードに人材の伸びがついてきていないと感じています。次の後継者や幹部の育成を考えないといけないんですが、会社が教えられることには限度があるし、本人の能力にも限度がある。また、この多忙な中でどのように育成をしていけばいいのか、模索している段階ですね。