株式会社FIELD OF DREAMS/株式会社STEAM Sports Laboratory 代表取締役

山羽教文

Takafumi Yamaha

不撓不屈

山羽教文

現在の仕事についた経緯

まず私は大学卒業後6年間、商社におりました。学生時代にはラグビーに打ち込んでいたのですが、当時の部活でのラグビーへの取り組み方と、会社での仕事への取り組み方が似ていることに気づきました。
具体的には、「設定した“目標”に対するアプローチの方法や考え方」。大学4年時にはキャプテンを務めましたが、「多様なメンバーがいる中でのチームづくりの難しさ」など。私はラグビーと仕事との共通点を、商社時代にしみじみと実感しました。
そのような体験を通じ、社内での部署移動のタイミングで、「自分だからできること」、「自分じゃないとできないこと」をすべきだと考えるようになりました。それは、従来のスポーツ環境ではなかなか経験できないことを経験し、その経験がまさに社会で役立つことに気づけたことです。
これを具現化しようと思い商社を退社し、スポーツ教育を学ぶためにアメリカへ留学後、株式会社FIELD OF DREAMSを立ち上げました。その後、スポーツ教育事業だけを分社化し、株式会社STEAM Sports Laboratoryを設立しました。

仕事へのこだわりと目標

これは仕事だけに限りませんが、やっていて楽しいものでないと、なかなか成果は上がりません。よって、「仕事を楽しんでやることこそ、成功への近道」ということになります。
ですからイヤイヤやらされる仕事は、頑張れないし、やらない方がいいと私は思います。

現在のスポーツ業界における私の関心事は、部活動や地域スポーツに代表されるスポーツを媒介とした教育事業です。トップアスリートの引退後におけるセカンド・キャリアをどう創出するかというものです。以前のスポーツ環境は、「指導者から選手に教え与える」トップダウン式が一般的であり、かつそれに従うことが常とされていたため、選手が主体的に試行錯誤する余裕はありませんでした。その結果、彼らは「根性」や「忍耐力」、「言われたことに忠実に従う力」はあっても、「自ら問題に気づき」、「課題を見つけ」、「改善に向けて試行錯誤する」といった力が充分に育っていないと考えています。
それともう一つ、トップアスリートの経験知財を如何に社会に還元できるかということを考えています。これは、近年課題になっている「トップアスリートのセカンドキャリア」問題とも関連してきます。このように、「トップアスリートの経験知財」を「スポーツ教育事業」に活用することによって、現在のスポーツ業界が抱える2つの問題解決に寄与したいと思っています。

現在、具体的な取り組みとして、「スポーツを起点としたSTEAM教育」を推進しています。「STEAM(Science, Technology, Engineering, Art, Mathematics)教育」とは十数年前から欧米を中心に注力されている教育方法ですが、“AI”や“IoT”に代表されるこれからの求められる人材づくりの一環として広がっています。日本でもここ2~3年で急速に認知されてきました。
スポーツシーンにおけるSTEAM教育はまだ緒に就いたばかりですが、たとえばプレーの映像やゲームデータを活用すれば、選手自身が自分のパフォーマンスを分析したり、ゲーム戦略を検討したりできるようになります。以前のスポーツ環境では、コーチからの指導に忠実に従うことが当たり前でしたが、STEAM教育を掛け合わせることによって、選手は身体を動かすだけでなく、別の領域における知見から物事を見る目を養うことができるようになります。

いま構想していることは、学校の「働き方改革」の一環として推進されている部活動の地域移行の流れに乗っかることです。この部活動改革の流れは、「これから求められるスポーツ教育」への転換を図る絶好のチャンスと言えます。従来の学校部活動におけるスポーツも、教員や指導者が生徒に「教える」、生徒は教員や指導者に「教えてもらう」という姿勢でしたが、これからは生徒自らの意志で自分を高めていく意識を育てていくことが必要です。そのような意味において、生徒自らが主体的に取り組めるSTEAM教育を普及する意義は大きいと考えています。

若者へのメッセージ

「好きなこと」や「興味を持ったこと」に没頭したことってありますよね。その時のことを思い出して欲しいのですが、きっと気づいたら「そのことに対して成長」していたはずです。この成長こそが、あなたが社会に貢献できることに繋がるのだと思います。
誰にも「好きなこと」や「得意なこと」があるはずです。もしそれが仕事ならば、楽しく行え、成果を上げることもできるでしょう。あなたにとっての「好き」「得意」を見つけ、ぜひチャレンジしてもらいたいです。