渡邉明弘建築設計事務所主宰

渡邉 明弘

Akihiro Watanabe

自分の心に正直に

渡邉 明弘

略歴

首都大学東京大学院修了。青木茂建築工房を経て2016年に開業。
GOOD DESIGN AWARD 2018(art BLD.)など。

現在の仕事についた経緯

子供の頃からよく絵を描いたり何か作ったりしていました。大学受験で建築学科を選んだのですが、建築家を夢見ていたというよりは、建築だったら何となく自由にものが作れそうだし、色んな知識も活かせそうだし、就職も困らないだろうという理由でした。
入学後にだんだん建築に興味が湧いてきましたが、自分はどんな建築を作れば良いのか卒業する頃になっても分からないままでした。社会に出る前にもう少し考える時間が欲しくて大学院に進み、そこで「再生建築」というコンセプトに出会いました。

建築家って更地に建物を作っているイメージがありますが、今は人が減って建物はむしろ余りはじめているんです。そういった古い建物が老朽化したり機能不全を起こし始めている事を知って、「これからは建物を大事にする建築家が必要なんじゃないか」と思うようになりました。

仕事へのこだわり

なんとなくやりたい事は見えてきたので、団地再生について修士論文を書いて大学院を卒業し、指導教官だった青木茂さんという建築家の設計事務所で4年半ぐらい働きました。

ひと通り仕事も覚えたし色々あって退職して、これから旅行でもしようかなと少しのんびりしていたところで友人が仕事を依頼してくれました。慌てて仕事ができる体制を整えて今に至ります。

ずっと、自分にしかできないこと、今の時代だからこそつくれるものを考えていて。例えば法隆寺やコロッセオを見ると、たしかに感動して、建築って素晴らしいなと思うけれど、自分がつくる建物とは時代も違うし建っている場所も違う。だから全く同じものをつくろうとしてもかなり無理があるわけです。

建築家の仕事は基本的に一品生産。クライアントも、敷地や既存建物も、二度と同じものに巡り会うことはありません。だからこそ毎回の出会いを大切にして、「今回でしかできない事をしよう」と決めています。

若者へのメッセージ

振り返って見れば、30才ぐらいまでに色々と考えたり動いた事が今の自分をつくっていると感じます。
特に20代の間は、自分の責任で何でも行動できる上に、他の人に対する責任を持つことも基本的にほとんどありません。そういった意味では自分の事だけを最大限に考え抜ける貴重な時間だったと思います。

なので、20代のうちはとにかく引きこもって自分を見つめ、同時に世界を見聞きしてみると良いと思います。
30代になるとだんだん色んな責任が出てきて、自分と向き合う時間がなくなってくるので(笑)。