ゼネラルヒートポンプ工業株式会社 代表取締役

柴 芳郎

Yoshiro Shiba

和而不同(わじふどう)

柴 芳郎

現在の仕事についた経緯

ゼネラルヒートポンプ工業株式会社は父が創業者として1984年に創業しました。
主に扱うのは社名にもある「ヒートポンプ」です。ヒートポンプとは別名熱ポンプとも呼ばれており、熱をくみ上げるための装置。ヒートポンプサイクルという、冷凍機やエアコンといった機器と同様の仕組みを利用して熱を移動させます。当社の製品では、地中や地下水の熱、温泉の熱、工場の排熱などの活用が可能です。「再生可能エネルギー熱」と呼ばれているこうした熱源は、利用が進んでいないのが現状です。当社ではこのエネルギーを有効活用し、通常のエアコンや燃焼系のボイラーに比べ、省エネルギーを実現できる技術を推進しています。
私は大学時代からアルバイトとしてお手伝いしていました。当時行っていた主な業務は機械系のプログラミングで、製品であるヒートポンプの納入先の状況を制御・監視するシステム開発です。製品納入後のメンテナンスも必要だったこともあり、大学卒業とともに当社に入社。大学院にも進み、一時は二足の草鞋を履く生活を送りながら博士号も取得しました。ヒートポンプの開発を中心に様々な業務に取り組んできましたが、5年前に2代目の叔父の後を継ぐ形で事業を継承。3代目代表取締役に就任いたしました。

仕事へのこだわりと目標

私は大学の工学部出身の理系で、エネルギーを適正に利用し、いかに省エネルギーを実現するかを追求したいと考えています。当社はシステムの提案からヒートポンプの製造まで行っているのが特徴です。現場の状況や熱源の種類、使用方法に応じて製品やシステムをカスタマイズし、最適なシステムをご提案します。計画を立て、正しく設計することで、お客様の燃料代と電気代を合計したエネルギーコストの削減が可能です。
最近はSDGsに注目が集まり、我が国でも2050年にはカーボンニュートラルを目指すなど再生エネルギー活用への機運が高まっています。ヒートポンプは再生可能エネルギーの熱を取り出すために多少の電気も使用しますが、再生可能エネルギーの電気を電源として利用も可能なので、CO2削減に大きく貢献します。ヒートポンプ技術を活用すれば将来カーボンニュートラルの実現も夢ではないでしょう。当社の技術には、時代の追い風が吹いていると思いますし、今後もその流れにうまくのっていければと考えています。

当社が推進する機器は主に業務用。特に建物や工場など個別の場所で省エネルギーの推進が可能です。老人保健施設や病院、福祉施設など延床面積が3,000㎡位の建物が多いですが、それより規模が小さな建物でも500㎡以上であれば対応できると思います。冷暖房や給湯がある施設で導入すると省エネ効果が出やすいと思いますので、今後は、熱が必要な施設、例えばホテルや温泉、温水プール、役所などの公共施設への展開を考えています。ただ、ピートポンプシステム単体では、導入や提案が難しい場合もあります。そのため、建設工事などの一環として、設備導入をおすすめすることが普及への近道となります。業者さんが工事を行い、当社がヒートポンプシステムを納める、そうした流れができるように、建設業者、工事業者、ボーリング業者、商社など連携先を増やし、ネットワークを築いていきたいと思います。
また、再生可能エネルギーというと電気というイメージがあるためか、熱を活用した再生エネルギーという概念はまだ世の中に浸透していません。風力発電など規模が大きい電気と比べると目立ちにくいという側面も持っています。そこで、熱エネルギーの利用について認知度を高めるために、地中熱利用促進協会などの各種団体を通じて普及活動を行ったり、導入事例をSNS、新聞、ホームページなどで紹介しています。

若者へのメッセージ

ヒートポンプという技術は奥の深い技術ですし、再生可能エネルギーを扱うこれからの時代にマッチした技術です。私は大学在学中からこの仕事に関わり、そのまま就職しました。それはヒートポンプという技術の面白さに惹かれ、好きな仕事だと感じたからです。
当社では、私の家族を含め様々な方達が一緒に仕事をしています。和気あいあいとしながらも、人それぞれの得意なことを生かして気持ちよく仕事をしてもらいたいと考えています。自分でやろうと思えばいろいろなことにチャレンジできる仕事ですし、もし興味があれば、積極的に飛び込んでもらいたいと思います。