株式会社笏本縫製

笏本 達宏

Tatsuhiro Shakumoto

アトツギアドベンチャーを楽しむ

笏本 達宏

略歴

高校を卒業後、美容師の道に進む。通信課程で国家資格を取得後。
当事者等の母親が体調を崩したことをキッカケに家業である縫製業に飛び込む。 2015年に自社ブランドであるSHAKUNONEを立ち上げた。

現在の仕事についた経緯

幼少期から身近に感じていた縫製業でしたが、苦労をしている祖母や母の姿を見て「絶対にこの仕事は継がない」と決めていました。高校卒業後には美容師の道に進み、国家資格まで取りましたが、母親の体調不良をキッカケに目を背けていた家業をてつだうことになりました。最初は一定期間だけ手伝うつもりでしたが、大人になってから見た家業で作られていたのは、誰もが知っているブランドや大手メーカーの商品ばかり。
しかも、「そんな所にまで??」と思うほど細やかな所までにこだわって丁寧に作る心意気に触れました。
自分が育った背景にはこの仕事がある。そして、祖母が創業し、母が守り抜いたこの仕事を未来に繋いでいけるのは自分しかいない。と直感でアトツギを決意しました。

仕事へのこだわり

美容師時代は当たり前のようにお客様と会話をし、お悩みや思いを聞いていましたが、縫製の仕事で対象が「モノ」になった時に、お客様の声が全く聞こえてこないというジレンマに悩みました。
私たちが作った商品が「どこの?」「誰が?」「どのように?」買ってくださっているのかを想像できなかったんです。それは、昔からの商習慣やビジネスモデルの中で「下請けの縫製工場は表に出てはいけない存在」といった意識があったためでした。毎日仕事をしていく中で、技術力やプロ意識は誇れるものなのに、企業アイデンティティが確立されていなく、自分たちの仕事の価値にも気づけていないように感じたんです。
『もっと自分たちの仕事はお客様に喜んでもらえる価値を生み出せる!』そう信じて、2015年に自社ブランドSHAKUNONE(シャクノネ)を立ち上げました。「人と想いを結ぶ」というコンセプトを立て、私たちが作った商品を受け取ってくださる「人」や、そこにある「想い」を常に意識を向けて仕立てています。私たちのような下請け出身工場がこういったD2Cモデル(Direct
to Consumer)を展開することは、もしかしたら既存のビジネスモデルに捉われている方々から良い目では見られないかもしれません。
ただ、祖母が立ち上げ、母が守り抜いた会社を未来へ繋げていくためには、自分たちの足で歩ける強さを持つこと、そしてお客様に確かな価値を提供していくことが必要です。
だからこそ、私たちにしかできないモノづくりをとおして、未来に繋いでいける会社作りをしていきたいと思っていますし、同じような立場で悩んでいる企業にも光を見せることが出来たらと思っています。

若者へのメッセージ

私が伝えられることは多くはありませんが、人こと伝えるならば、
『自分の人生にビビらないでください』
創業から半世紀、祖母と母が作り育てた会社の危機に入社をしました。
人より少し多くの絶望と苦しさを味わっていると思っています。
ただ、行動をするまでには時間がかかりました。
それは、単に『失敗や環境にビビっていた』からだと思います。
もし、この記事を読んでくださっている方の中で、過去の私と同じような立場にいたり、将来にに悩んでいる方がいらっしゃれば、ビビらずに前に進んでみてください。
基本的に人生に「棚ぼた」はありません。
もしそれがあるなら、常に問題意識を持って、少しでも変わろうとして行動していく人が掴んだチャンスのことだと思います。「挑戦」といえば難しいようなことに聞こえるかもしれませし、ビビッて行動できていない人もいると思います。私もビビることはたくさんあります。
もしあなたが、何かしらの課題を持っているならば、その一つずつを、自分のできることから、どんなに小さくてもいいので、突破をしていく行動を起こしてほしいと思います。
それができれば、道が見えてくると思います。
人生はアドベンチャーです。私も、全力でアトツギアドベンチャーを楽しんでいきたいと思っています。