株式会社でこぼこ 代表取締役

斉藤 幸波

Koha Saito

他力本願

斉藤 幸波

現在の仕事についた経緯

高校生の頃、進路を決める際に「子供が好きだから」という理由で、保育学科のある大学への進学を決めたことが、幼児教育に携わることになったそもそものきっかけです。
大学卒業後は幼稚園、保育園とそれぞれ勤務してきたのですが、前職の保育園で児童デイサービス事業をスタートすることになり、準備に向けて動いていたところ、会社を分けた方がいいのではないかという結論になりました。
そこで2022年4月に児童発達支援・放課後等デイサービス事業を行う児童福祉施設として株式会社でこぼこを設立した次第です。

仕事へのこだわりと目標

保育園や幼稚園にはそれぞれ特定のルールがあり、職員はその決まりを遵守しなくてはなりません。
しかし、それゆえに子供の「やってみたい」といった気持ちに応えられない歯がゆい思いを多く経験してきました。
たとえば、運動会やお遊戯会といった行事は、あくまで園が定めたイベントでありながら、子供達は絶対参加を求められます。
さらに準備期間中、子供達は「このおもちゃで遊びたい」「〇〇ちゃんと遊びたい」という気持ちを抑えてまで、練習に励まなくてはなりません。
中には、園児達に丸1日、練習だけをさせて帰宅させるようなこともあり、「これは一体誰のためにやってるんだろう?」と疑問を抱くことが多々ありました。
そのような経験から、今現在は、大人の都合で子供達の思いをないがしろにしないよう、守るべき決まりは最低限にとどめ、できるだけ1人1人の気持ちに寄り添えるような体制を整えています。
また、人が抱える困りごとの質や量には個人差があり、悩んでいるのは子供ではなく、その保護者という場合もあります。
だからこそ、形式的に「平等に」接するのではなく、必要な人に必要な分だけの支援を行い、それぞれの思いにきちんと応えられるようにありたいと常日頃から思っています。

児童デイサービス事業を開始するにあたって、私は「継続的にかかわり続ける」という方針を掲げました。
幼稚園や保育園の場合は、小学校へ入学してしまうと、それきり関係が断たれてしまうことが多いのですが、児童デイサービスは子供達が18歳になるまで関わることができます。その特性を活かし、子供達と末永い関わりを持ちたいというのが私の思いです。
また18歳になってからも、就労支援などを通して1人1人の人生を長い目で見守り、支えていける施設を目指していきたいと思います。
彼等、彼女等にしっかりと自分の人生を歩んでもらうためには、まず私達大人が、子供達が自然に背中を負いたくなるような憧れの存在であることが重要です。
よって、職員達には「完璧な人である必要はないし、できることもできないこともいろいろあっていいけれど、子供たちに憧れてもらえるような存在になってほしい」と常日頃から伝えています。

若者へのメッセージ

私の経験からすると、決断するタイミングというのは非常に重要で、後々の人生に大きな影響を及ぼすものだと感じています。何かを決めるということは非常に難しいことでもありますが、ぜひとも重要なタイミングを逃さないように、意識してみてください。
また、私の大切にしている言葉に「他力本願」というものがあります。
この言葉は一見、「人に頼ってばかり」といったマイナスのイメージがあるかもしれません。
私自身は、人に頼ってもらえることを非常に嬉しく感じますし、その上で感謝されればなおさら「やってよかった」と思います。
そのような思いもあり、私はこれまで人にさまざまなことを遠慮なくお願いし、頼ってきました。その分、誰かの力になれるように心がけてきました。
人に頼ることは、少し引け目を感じてしまうかもしれませんが、こちらもぜひ実践してみて頂きたいなと思います。