新熱工業株式会社 代表取締役

大谷直子

Naoko Otani

変なプライドは持たない/聞く耳を持つ

大谷直子

現在の仕事についた経緯

もともとは都内の某有名アパレルブランドで販売員をしていました。
結婚を機に地元に戻ったとき、経営者である両親から入社について打診されて、弊社に参加しました。
とは言っても当時は会社を継ぐ気など全くなく、あくまでお手伝いのつもりでした。
10年間くらいは社長である父を陰から支えるポジションでしたが、いよいよ後継者問題が深刻化してきたときに私に白羽の矢が立ちました。
悩んだ私は一度会社を離れ、経営者の育成学校へ入学。
10ヶ月間泊まり込みで経営について学びながら、自分と向き合うことにしました。
結果的にそれが転機となり、代表取締役になることを決意。
両親が大切にしてきた事業を他人に譲るくらいなら、自分の手で繋ごうという風に気持ちを切り替えられたのです。

仕事へのこだわりと目標

自分ができることで勝負をすることですね。
通常、中小企業の経営者はご自身でも業務について熟知している方が多いと思います。
先代である私の父もそのタイプでした。
しかし私の場合は、後継者としての準備期間もなく代表に就いたこともあって、現場の仕事を一通り経験したり、知識を習得したりする時間はありませんでした。
したがって従来のようなトップダウン型の経営スタイルは私には無理だときっぱり線を引きました。
その代わり、社員達に自由度を持たせて、自ら能動的に動いてもらうような仕組みづくりに注力したのです。
その理由は2つあります。
1つ目は、今後企業が成長するためにも、キーマンとなりえる人に活躍してもらうためにも、挑戦できる風土が必要だと思ったからです。
2つ目は、社員や幹部クラスの人達とより多くのコミュニケーションを取るためです。
経営計画や理念、ビジョンを築き上げるには、より多くの話し合いが必要になります。
弊社はほとんどが男性社員ということもあり、できるだけ積極的に議論を交わす中で、いち早く信頼関係を築きたかったという意図がありました。

先代が最も苦労して作り上げたものとして、工業用シーズヒーターの独自の生産工程が挙げられます。
弊社はそちらをコアとしてここまで来たのですが、今後はシーズヒーターから一歩離れたところでの冒険をしたいと考えています。そのためには、自分達の強みを活かせる分野や市場のリサーチが必要です。
既存のお客様にはきちんと対応をしつつ、熱源としてのヒーターをもう少し応用展開できたらと思っています。
新規開拓ができた際には、単体品だけでなくユニット品、セット品といった風に販売方法も変化が付けられるはずです。
製造業は繰り返しの仕事が多いと思われがちですが、工夫をすれば若い方達にも面白いと思ってもらえるような、やりがいのある仕事になると思います。

若者へのメッセージ

20代~30代前半は、自分の可能性がまだ分からない時期だと思います。
だから決して自分のことを型にはめず、いろんなことにチャレンジしてほしいですね。
経験をすれば自然と「自分ってこんなことできるんだ!」「こんな楽しいことがあったんだ!」という発見が得られると思います。そういう意味では、会社で違う部署の仕事を経験してみるのも良いことです。
今ここにいる場所だけですべてを判断してしまうのはもったいないです。
「自分らしさ」が分からなくなったら、とにかくいろんな経験をしてみてください。