Craif株式会社代表取締役社長(CEO)・共同創業者

小野瀨 隆一

Ryuichi Onose

人類の進歩に寄与する

小野瀨 隆一

略歴

幼少期をインドネシアと米国で過ごし、早稲田大学国際教養学部在籍時にカナダのマギル大学に交換留学。卒業後は三菱商事に新卒入社、4年間米国からシェールガスを日本に輸入するLNG船事業に従事。2016年5月にはサイドビジネスで民泊会社を創業、全国で事業を展開。その後、「人類の進歩に寄与する事業を興し続ける」事を人生のテーマに定め2018年4月に三菱商事を退職、2018年5月にIcaria株式会社(現Craif株式会社)創業。がんとの戦争に終止符を打つことをミッションに、生体分子の網羅的解析でがん医療の改革を目指す。

現在の仕事についた経緯

祖父、祖母に相次いでがんが発覚し、翌年1月には祖母を亡くした。
立て続けに家族が病に襲われることで、「がん」が持つ痛みが一気に自分事に感じられ、「人類の進歩に直接貢献したい」と想いを固める。
当時勤めていた三菱商事を退職し、「がん」についてのビジネスを検討していたところ、VC
であるANRIの紹介で液体生検の基礎技術を持つ名古屋大学の安井准教授と2018年3月末に出会い、1ヶ月後には創業。
米国を中心として盛んな投資がある分野で世界に勝てる技術を有していた魅力のみならず、もっとも大切にしている二つの価値観:(1)グローバルな競争で打ち勝つこと(2)スピード感を持って事業を推進すること、に強く共感したことで、一気に事業を立ち上げるに至った。

仕事へのこだわり

「天才のお手伝い」それが凡人である自分の仕事だと思っています。
人類の発展はサイエンスの発展、と言っても過言ではないくらい人類はサイエンスと共に進歩してきました。もちろん負の側面もあり、兵器や環境破壊もサイエンス発展の結果でもありますが、技術そのものに罪はなく、正しく扱えていない人間に非があります。人類の発展を引っ張ってきたサイエンティストは僕にとって最も尊い存在ですが、技術を世に出すには、サイエンス以外にも数多のハードルを乗り越えなければいけません。資金を調達して組織を作り、技術をサービスに落とし込み、営業・マーケティングを行って人々の手に届け、カスタマーサポートまでやり切る必要があります。どんな革新的な技術も、これらの努力を怠ると社会的な価値は生めません。
天才たちが生み出した技術を社会に届ける、これが僕の仕事です。この仕事を全うするにあたって重要な事は、先ず圧倒的に視座を高めて目標設定を行う事だと考えています。冒頭に書いた通り、技術は使い方次第では人を殺める事も、地球を破壊する事もできます。収益化する事は極めて重要ですが、どんな時もダークサイドに落ちず、人類の進歩に寄与する方向に会社が進む目標設定が必要です。
次に、掲げた目標を最短・最速で達成する事に執着する事が大切です。目的達成主義をもってリーダーとして事業をドライブする事を日々強く意識して仕事をしています。目的達成に必要な工数を最小限に削ぎ落とし、その上で最速で仕事に取り組みます。
最後に、社内外問わず、役職や立場は一切関係なくフェアで対等な関係性構築にこだわっています。フェアネス・対等性が欠如すると個人が利己的になり組織は一丸になれません。フェアで対等な関係を構築するために、人に接する態度はもちろん、情報格差も最小限に止める工夫を行っています。

若者へのメッセージ

自分自身が若輩者ですのでエールやアドバイスを贈る立場ではありませんが、もっとディープテクノロジーの領域に若い力が飛び込んできて欲しいと思っています。インターネットによる第三次産業革命を先導したのは経験なき若者たちでしたが、この産業は成熟フェーズを迎えています。ではどこで勝負すべきか?僕は若者が最も力を発揮できる領域は常に最先端のテクノロジーだと確信しています。理由は至ってシンプルで、未開拓の領域は経験者がいないため最も学習能力が高い若者が勝つからです。インターネット黎明期に多くの若者が成功した理由は正しくそこにあると考えています。
次なる人類の進歩はディープテクノロジーにあります。第4次産業革命とも言われるこの時代ではかつてないスピードでテクノロジーが進化しており、大きな進歩がこの10-20年で達成される事が期待されます。インターネット革命以来、再び大きな波が押し寄せており、既に世界では多くの若者が挑戦をして、結果を出しています。しかし日本にはスタートアップが少なく、研究者が生み出した技術シーズは事業化されずに埋もれているあまりに勿体ない現状があります。日本人にだけ出来ない理由なんてありません。僕たちも世界に挑戦しましょう。結果は必ず付いてきます。