糀ASOBI 代表

中山 緑

Midori Nakayama

情熱さえあれば不可能無し

中山 緑

略歴

出産を機に食の大切さに気付き、日本古来の糀の魅力にたどり着く。
発酵食大学(石川県金沢市)にて、発酵食全般を学び、糀を使ったスイーツを世に広めよう!と思い立ち、起業を決意。4年間の試行錯誤の月日をかけ、およそ1000人に試食してもらい、2017年3月に塩糀ロールケーキ専門店「糀ASOBI」をオープン。
持前のガッツとアイデアの豊かさで、子育てとお店の切り盛りの両立に専念し、商品の幅も順調に広げる。また、その味覚のセンスの高さから、地元の方々をはじめ、食への意識の高い全国の方々に好評を博している。

現在の仕事についた経緯

発酵について学べる「発酵食大学」に通っていた妹がきっかけとなり、そこで学ぶことに決めました。和食の調味料として使われている醤油、味噌、味醂や酢などが、全て糀から作られていることを知り、その奥深さに驚きました。また、たまたま姪の付き添いで行ったスイーツ専門学校で世界的パティシエ・辻口博啓さんが綺麗なケーキを作っておられ、「茶道や華道のように『菓子道』があってもいいのではないか」という、ご自身のお考えを聞かせて頂き、一流で活躍されていらっしゃる方の発想力に感銘を受け、「私も何かスイーツを作ってみたい!」という衝動に駆られました。その際、何か日本にしかないもので、しかも身体に優しいものを作りたいと思い、浮かんだのが糀でした。

仕事へのこだわり

扱う糀は、生きています。
その日の気温、湿度によって微妙に仕上がりが違ってきます。
また、生きている糀であるが故に、作り手の思いがそのまま映し出されます。
食べてくれるお客様の喜ぶ顔を思い浮かべて、幸せな時間になるように思いながら、「おいしくしてね」と糀にお願いすると本当に美味しくなります。
そんな糀と接しているわけですから、常に上機嫌でいられるように心がけています。

また、頼まれたことは絶対に断らないことをモットーにしています。
返事は、「はい!」か、「イエス!」か、「喜んで!」です。

そして、周りからのアドバイスは、素直に耳を傾けて聞くことにしています。
それは、たくさんの良きご縁をいただくというありがたい状況を生み出してきました。

また、日々たゆまぬ探求心をもってお菓子作りに励むこと。
もともと、素材には格別のこだわりを持ってきました。ロールケーキ開発の4年もの間、試行錯誤を重ね、いろいろなものを試した結果、地元の富山の美味しいものを厳選しました。
米粉だけで15社くらい試し、黒部のコシヒカリを使っています。卵は、富山県産の米粉を食べて育った鶏のもの、塩は水深333mから汲み豆乳は世界遺産・五箇山の名物である堅豆腐のものと逸品ばかりです。
そして肝心な糀は、北陸唯一の種麹屋「石黒種麹店」のものを使用しています。江戸時代から続く一子相伝の技は日本最古のバイオテクノロジーと言える特別な糀だと思います。
これらの選択は、探求心の賜物と自負しています。

若者へのメッセージ

二つお伝えしたいと思います。
私の座右の銘は「情熱さえあれば不可能なし」という言葉です。何かを見つけたときはつかめばいいし、それをとことんやりきることが成功の道だと思っています。そうやってきたことで今の私があると思っています。情熱を失わずに色んなことに挑戦していって下さい。
そして、私がやりたいのは糀の発酵食文化を絶やすことなく伝承していくこと。今ご好評いただいている糀を使ったロールケーキは、糀を伝えるための手段のひとつです。
実は、海外の料理でも糀を取り入れるとより美味しくなるんです。海外で糀を紹介して、いろんな国の方に日本の良さを知ってもらいたいという思いも強いです。それは糀が日本にしかない日本の文化だからです。
これからの若い世代の方々にも是非、この日本の文化を知って頂き、誇りに感じてもらい、どんどん世界に発信していって頂きたいと思います。