ますずがわ神経内科クリニック 院長

真鈴川 聡

Satoshi Masuzugawa

今できることを精一杯やる

真鈴川 聡

現在の仕事についた経緯

父が整形外科の開業医で、小学生の時からずっと後姿を見ていたというのが一番大きいと思います。医師以外の仕事に就くということを考えたことがありませんでした。ですが、父と同じ整形外科には進みたくないというこだわりがありました。
内科系ということは決めていて、卒業してすぐ名古屋の第二赤十字病院で勤務を始めました。
1年目は全科を1か月づつ研修し、2年目は内科を3か月づつローテートしました。その中で神経内科が一番印象に残りました。
ちょうどそのころ三重大学に神経内科が新設され、赴任された先生がとても素敵だという噂を聞いて三重大学に戻りました。
元々、開業するつもりは全くありませんでしたが、勤務医を続けている間に医療の限界を感じ、病気とともに歩むことをサポートすることがより重要だと考えるようになりました。
勤務医よりも開業したほうがより良い医療を提供できると感じ、開業に踏み切りました。

仕事へのこだわりと目標

勤務医時代に培った正確な診断と治療をベースに、地域の看護や介護の専門職の方々と連携しながら、患者とその家族の生活をサポートすることが目標です。
正確な診断の前提として、詳細な情報収集が必要です。パーキンソン病や認知症、てんかんなどの疾患を持つ患者様は特に詳しい病歴を聞き取ることが重要です。当院では看護スタッフが時間をかけて十分に問診を行い、必要に応じて社会背景や家族関係も聴取します。
次に、神経学的所見を確認するのですが、パーキンソン病であれば全例でUPDRSという世界共通の評価項目を確認します。
そして検査を行うのですが、高齢の方が多いこともあり、多数の障害を伴っていることが少なくありません。加齢や疾患に伴い自律神経障害を伴うことが多く、心電図や腹部X-P、ティルトテストなどで確認しています。患者様の時間とコストを考慮しながら検査項目を選択し、正確な情報を収集します。
これらの情報をもとに、より正確な診断を行い、学会が作成したガイドラインに沿った治療を行います。ガイドラインはその領域のスペシャリストが多数の論文と正確なデータを元に作成したもので、定期的に更新されているので、最も妥当な治療方針が記載されています。患者様の状態により多少アレンジし、最も適切な治療を検討します。
治療開始後は患者本人・家族・必要に応じて利用している介護施設から状況の変化を確認し、治療が妥当であったのかどうかを多面的・重層的に確認・検討し、必要に応じて修正します。
このように、院内・院外の多職種のスタッフと連携・協力しながら、一人の患者とその家族の診断・治療を行っています。
地域の看護や介護の専門職を育てるために、20年以上前から、地域における講演会や事例検討会を1~2カ月に1回行ってきました。
パーキンソン病や認知症、てんかん、多発性硬化症などの神経疾患を中心に、嚥下困難時の胃瘻造設や看取りなどについても問題提起し、神経内科領域の疾患の啓蒙活動を行っています。
これからも、地域を育て、障害があっても気持ちよく過ごすことができる社会づくりを継続することにより、患者さんが病気と共に歩み、患者さん自身の人生の価値をより高めることをサポートしたいと考えています。

若者へのメッセージ

ある程度極めようと思うとそれなりの努力が必要です。その努力の向こうに見えてくる世界は違うものがあるので、そこを目指してほしいです。与えられた環境の中でベストを尽くす。その中で、新たな世界を自ら見つけることを願っています。