シーアールボックス株式会社代表取締役社長

菊地仁志

Hitoshi Kikuchi

常識は非常識

菊地仁志

略歴

1963年生まれ、宮城県出身。東北工業大学工学部電子工学科卒業後、88年にシーアールボックスに入社。 クリーンルームでのハイブリッドIC製造の管理者として従事。 92年以降電源モジュール工程の管理者となる。94年会社が東京移転しデバイス商社の半導体検査やROMデバイスの書込管理者として従事。 01年からは品質保証業務も兼務し、07年以降は品質保証専任となる。 09年品質保証部長、品質管理責任者。 17年代表取締役社長就任。

現在の仕事についた経緯

幼少期からエレクトロニクスに興味があり、電子ブロックなどを組み立てていました。
その後ラジオに興味を持ち海外放送などを聞いていましたが、感度の良い受信機が次々と世の中に出てくるのを目の当たりにし、電気産業の技術力に大きな興味を持ちました。
大学は電子回路を専攻し、かつ「モノを作る」ということが好きだったので、その両方を掛け合わせ当時目新しかった「ハイブリッドIC製造」というワードに目がとまりシーアールボックスに入社。
しかしそこで学んだことは、最先端技術の世界であっても一般的なものつくりに共通する作業管理や品質管理、それと人の管理の難しさでした。
その後仙台から立川に移転し、現場では数百人の採用面接や人員育成にも携わり、人をまとめ組織として運営していく難しさとやり甲斐を学びました。
そこでは数多くの失敗もありましたが、その経験はその後の事業運営にも大いに役立ち、現在の立場となってもより確固としたものになっています。
いつの世も、モノを生み出すことは容易ではありませんが、出来たときの喜びやそれが世の中に役立つ実感が今も原動力となっています。

仕事へのこだわり

人間としては素直が一番と思ってはいますが、仕事においてはひねくれ者であるべきだと考えています。
なぜなら誰もが考える「常識」は、時にベストではない可能性があります。
「常識は非常識」
ただし、人の逆を常に行けというのではありません。
定石とされる、識者誰もが是とする考え方も、一度はそれが間違いだと仮定して考えることで、何かしらの気づきが生まれることもあります。
その意味では大いにひねくれ者になっていい。
自分の発した意見や考えでさえ間違いだと仮定して考えてみることはとても大切で、最後は素直な気持ちで俯瞰して、非があるときには潔く認めて、修正する気構えが必要です。
あとは自分の信じる道を突き進むパワーを持つこと。
それが同時にできてこそバランス感覚に優れた、より確実な判断ができると考えます。
私が今までの仕事において様々な課題に直面しそれを解決して来れたのも、結果的には誰もが考える範囲ではなくそれを大きく超えた範囲や、全く違った立場や視点のことをあえて考えてみることで、小さな視点での常識のナンセンスさに気付くことが出来たからだと思っています。
またその視点で考えることは、判断に自信や勇気を持つことにも繋がります。

若者へのメッセージ

目標を持つことと、失敗を恐れないことは大切だということは昔も今も変わっていません。
でも、若いうちから強く大きな目標を持つことは、誰もが出来るものでは無いと考えます。
とはいえ何の目標もなく、目の前の課題すら見えない環境では、早くから目標を持ち、課題解決に取り組んだ他者との差は広がるばかり。
スマートに仕事をしようと、知識だけ身につけて実際の失敗体験が無い人は、対応力も無いままとなり本当の大きな失敗を招きます。
その意味では、できるだけ若いうちにたくさんの失敗をして学んでいただきたい。
ちゃんと失敗の要因を分析し次に活かせれば、必ずもっと大きな仕事が出来るようになります。
世の中は予想通りに行かない事だらけ。
再起不能にならない小さな失敗で済ませ、そこから学び成功へと導く方法を常に考えることが、素晴らしい未来を造ると信じます。