桜サイエンスビューティー株式会社 代表取締役

川人 紫

Yukari Kawahito

思い立ったら吉日

川人 紫

現在の仕事についた経緯

1994年にエッセンシャルオイルの輸入卸会社を設立したのが始まりです。
日本ではまだアロマセラピーがまったく知られていない頃だったので、海外から高品質のエッセンシャルオイルをなんとか輸入し、その売り先を見つけるために一店舗ずつ電話をかけるような毎日でした。
幸い、ロフトが日本で初めてのアロマコーナーを作るということで、私が輸入したオイルも置いて頂けることになり、一気に市場が拡大しました。
そんな中、とあるお医者様が会社へお見えになり「アロマセラピーの学会を設立するから手伝ってもらえないか」というお申し出を頂き、1997年に設立されたアロマセラピー学会の事務局長に就任しました。
私はもともと西洋医学が苦手でアロマセラピーを好んでいたところがあるので、アロマセラピーが医療分野で活用され始めたのは本当に嬉しかったですね。
しかし過労が祟ったのか、途中でステージ2の胃がんになって入院していた時期もあります。病後はしばらく事業から離れて、熊本大学で学位取得のための論文を書いていました。そのときのご縁で教壇に上がる機会を頂き「ソーシャルビジネス」についての集中講義を毎年大学院で続けています。
全快してからは、もとのアロマセラピーをメインとした事業へも復帰しました。
桜やヒノキ、ゆずなど、日本の植物から香りを抽出する特殊技術を活用し、地方創生に貢献できるようなビジネスの構築へ取り組んでいます。

仕事へのこだわりと目標

利益のために品質を落としたり、嘘をついたりといったことだけはやらないと決めています。
アロマセラピーといった分野は品質の分別が難しいので、たとえば「オーガニックのオイルです」と言いながら、農薬入りのオイルを出しても気づかれません。
だからこそ、私は敢えてやらないと決めていますね。
信用問題にかかわりますし、私自身が好きなものだからこそ嘘をつきたくないという部分もあります。

今後の目標としては、地方企業や林業者、生産者の方と手を組んで、地方がより活性化するようなビジネスモデルを構築していきたいと思っています。そのツールとして、エッセンシャルオイルが貢献できるではないかとも考えています。
近年ヒットした「アロマdeマスク」(マスクに貼れるアロマシール)は、まさにそういう取り組みの最中で生まれたアイテムで、私がアロマをブレンドし、香川県の企業が製造販売してくださっています。
弊社だけで何かをするよりも、同じ地方創生の志がある方々と手を組んだ方が、ビジネスの幅もより広がりますよね。資金面などの課題もありますが、地方銀行などの金融業界が絡んで頂けるような仕組みができれば、よりよいビジネスモデルになると思います。

若者へのメッセージ

失敗に寛容な欧米とは違い、日本ではどこか失敗が許されないような空気があるかと思います。
そのせいで「新しいことを始めにくい」と感じている方も多いと思いますが、今は起業に対しても支援制度がありますし、若いからこそできることもたくさんあります。
だから、とりあえずやってみるということが大切かなと思いますね。
私はアロマセラピーの市場規模がほぼゼロのときに起業してしまいましたが、本を読んだり、貿易会社にアルバイトで入ったりと自分なりのやり方で勉強してきました。
事業をする上では、事業計画や資金繰り表は、ある程度作らなくてはいけませんが、予定通りにいくことはまずないので、ざっくりで良いと思います。
それよりも、とりあえずやってみてほしいですね。これが一番のメッセージです。