サン食品株式会社 代表取締役

加藤三基男

Mikio Kato

やれない理由を考えるのではなく、やれる方法を考える

加藤三基男

現在の仕事についた経緯

この会社はもともとわが家の家業でして、私の祖父が90年前に創設したものです。私は30年前は別の会社でサラリーマンをしていたのですが、それが親孝行だと思い、家業を継ぐことにしました。
弊社はずっとコンニャクを製造していましたが、その当時はコンニャクは世界ではほとんど食べられていませんでした。そもそもコンニャク自体は1500年も前から知られていまして、500年ほど前には精進料理の一部になりましたが、一般の人が食べることはほぼなかったのです。
私は25年ほど前にアメリカに行きましたが、そこでコンニャクは日系人の人たちが故郷の料理として食べているくらいでした。コンニャクの成分は水分と食物繊維だけなので、カロリーはほぼゼロです。ですからそのとき私は、「コンニャクを世界中に広められたらなぁ」と思ったのです。

仕事へのこだわりと目標

コンニャクは製造の過程で「消石灰」という物質で固められますが、この消石灰は健康上、あまり好ましいものではありません。そこで私は、消石灰に変わり、カラダへの悪影響がない凝固剤を10年ほど前から開発し、製品化しました。
当時のターゲットは海外の人たちで、コンニャクがカロリーゼロなところからダイエット食品として利用してもらう、ヌードルのように食べてもらうことを考えていました。そこからヴィーガンのような方たちに需要があったのですが、意外なことに国内からも弊社のコンニャクを求めるお客様がいらっしゃいました。私の製法はまだだれもやったことのないもので、もちろん日本初です。「やってみるか」の感覚で挑戦したら、日本でも受け入れられたということです。
弊社の商品は正直に申し上げて、価格は安くないにもかかわらず、お客様のリピート率は高いです。ですがそのように本物の製品を提供したら、理解してくださる人はちゃんといるのです。私はそうした地道な努力を継続することに、こだわりを持っております。

今後の目標は、食品メーカーとして、「食べて健康」という商品をどんどんと世に送り出すことです。お客様に食べていただくには、簡便性が重要となります。
従来のコンニャクは煮るのに時間がかかり、味がなかなか染み込みません。そこで「1~2分で煮込みができるコンニャク」などを、「あったらいいな」という想いで、現在、開発中です。さらに「食べてより健康になれるコンニャク」でしたら、お客様にもお召しあがりいただける機会が増えるでしょう。
ただそうなるまで、もちろん課題もあります。それは日本でも海外でも、「そもそも認知してもらわなければ、買ってもらえない」という点です。弊社商品の一般の方への知名度は、まだまだです。弊社のような中小企業では、広告費もそんなには出せません。私は弊社製品に対しては揺るぎのない自信を持っていますが、どんな良いものをつくっても、人に知られなければ買われないのは現実です。よって現在、弊社製品のPR方法を模索中です。

若者へのメッセージ

正直に申し上げて、いまを生きる若者の人たちは気の毒だと思います。私は昭和30年代生まれですが、育ったのが高度経済成長期だったため、頑張りさえすれば、夢は叶うものでした。
ところが現代の若者たちは、生まれてから日本の景気は右肩下がりです。ですが、そんな彼らに伝えたいことは、「自分の想い以上のものは、叶わない」という現実です。つまり、まずは「想い」を持たないことには、何も始まらないということです。よって、諦めずに想いに向けた方向での努力をしていただきたいと思います。
それともう一点。若いうちに海外に出ることを、お勧めします。日本にいれば、日本のことしかわかりません。それだとあまり成長は見込めません。ですから積極的に海外に出ることで、外から自分自身や自分をめぐる状況を客観視してもらいたいと思います。