株式会社Trust Walk 代表取締役

蔭山幸司

Koji Kageyama

未来を創る人に『空のチームマネジメント』を

蔭山幸司

現在の仕事についた経緯

私は、25年の航空管制官のキャリアのうち、管制塔や管制センターの現場業務だけでなく、約10年間は訓練教官や全国の航空管制官の教育統括として「人財共育」の場に身を置いてきたことから、「人」を育てることの重要さを深く感じていました。
その後、将来計画担当として「産・学・官」のプロジェクトリーダーも務め、産学の皆様から最新技術の導入などの様々なご要望がありましたが、それらの技術を使う「人」を育てることが最も重要なのではないか…と改めて感じるようになりました。

また、これまでの人生で3回の脳梗塞を経験し、現在も毎月の定期入院が必要なことから、「人生はいつか終わる」ということを強く感じ、「少しでも世の中のお役に立てる人生としたい」と考えていました。
そこで、航空界の人財共育法を『空のチームマネジメント』として航空界以外の皆様にお伝えすることで、世の中のお役に立ち、長年育ててもらった航空界への恩返しにも繋がるのではないかと考え、コロナ禍ではあるものの、航空管制官を卒業して国土交通省を退職することを決意し、株式会社Trust Walkを創業致しました。

仕事へのこだわり

少子高齢化が加速する日本では、労働人口の減少が深刻であり、「2050年の労働人口は現在の約3分の2になる」という試算がされています。そのような中、今後ますます重要になってくるのは、「人財共育」です。しかし、多くの企業が教育面で大きな課題を抱えています。

採用後の育成を、上司や先輩が現場で指導を行う、いわゆるOJT(On-The-Job Training)だけに頼るのは難しく、しっかりとトレーニングをした上で、OJTへとつなげていくことが重要です。そういったトレーニングをきちんと行き渡らせる必要があります。
また、「教育・育成」というと「能力面・スキル面」が注目されますが、実は「ノンテクニカルスキル」を磨くことも重要となってきます。
航空界の唯一の商品は、「絶対的な安全と安心」ですが、この唯一の商品である「絶対的な安全と安心」を守り続けていくためには、「テクニカルスキル」だけでなく、「ノンテクニカルスキル」を磨くことが非常に重要であることが研究から明らかになっています。
そこで、航空界の「人財共育」では、この「ノンテクニカルスキル」を磨くことに重点を置いており、約50年に渡って国連の専門機関である国際民間航空機関(ICAO)を中心に改善を続けてきました。
この歴史を振り返ると、「人」という財を育むことの大切さは国を超えても変わらず、人材とは「人財」、教育とは「共育」との思いがとても強くなりました。

弊社がご提供する『空のチームマネジメント』は、航空業界の「ヒト作り」、「チーム作り」、「環境作り」の手法を改めて分析し、「絶対的な安全と安心」という航空界唯一の「商品」をお客様にご提供するために行っている航空業界の「アタリマエ」を体系的にまとめたものです。
『空のチームマネジメント』を通じて「ノンテクニカルスキル」を磨くことの大切さをより多くの皆様にお伝えし、「人財共育」で世の中に貢献していきたいと考えています。

若者へのメッセージ

若い世代の皆さんにお伝えしたいことは、3つです。

1つ目は、「失敗を恐れずに!」、「何にでもチャレンジしてみること!」です。
若いうちの経験は、成功も失敗も含めてすべてがその後の人生の糧となり、土台になってきます。同じ経験であっても、若いうちに経験をしたことと、年齢を重ねてから経験したことでは、感じ方も学び方も変わってきます。是非、躊躇することなく、新しい世界に飛び込み、多くの経験を積んで欲しいと思います。

2つ目は、「歩み続ける」ことです。
私はこれまでの人生で3回の脳梗塞を経験しているのですが、「人間万事塞翁が馬」であると感じています。脳梗塞を経験した直後は、「なぜ自分ばかりが…」という思いもありましたが、この3回の脳梗塞を経験したからこそ見える世界もあり、「何が吉となるかわからない」と体感しています。皆さんも、「苦しい」と今感じていることであっても、後々にそれが役に立つということがありますから、歩みを止めずに、ゆっくりでも前に進んでみてほしいと思います。

3つ目は、「人」という「財」を大切にすることです。
私自身、これまでの人生での数々の困難は、自分独りだけで乗り越えることは不可能でした。家族や友人、先輩や後輩といった多くの方に支えていただいて、今があります。
「信頼」と「共感」で繋がった素晴らしい仲間と共に、皆さんが大きく羽ばたかれることを祈念しています!!