井澤国際特許事務所 代表弁理士

井澤 幹

Kan Izawa

何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く

井澤 幹

現在の仕事についた経緯

弊所は祖父が1930年に創設し、私が3代目となります。小さい頃から「弁理士になれ」と言われていましたが、当時は弁理士の知名度が今より輪をかけて低かったこともあり、ピンと来ていませんでした。
なにせ小学校で「将来の夢は弁理士です」と言うと、「井澤くんが“便利屋”になりたいと言っていますが…」と担任の先生が親に言ってきたくらいです。
ただ中学生ぐらいになると、父の仕事を面白そうと感じるようになりました。まだ世に出てないものを取り扱うのが弁理士の仕事ということで、よく未発売のおもちゃを事務所で見かけたりしていたからです。
また、父が付けていた弁理士バッジにも憧れを持っていました。
高校では3年間ずっとラグビーに明け暮れ、花園にも出場し、大学からスポーツ推薦も来ましたが、親にストップされ、結局は自力で日本大学に入学。
同校では弁理士の著名な先生が教壇に立っていらしたので、その先生のゼミに入って学びました。
幣所に参加したのは2002年弁理士試験合格後すぐで、その後日本弁理士会の副会長や広報センター長も務めました。

仕事へのこだわりと目標

最も大切にしているのは、お客様とのコミュニケーションですね。
祖父が「弁理士は発明の産婆さんだ」と言っていましたが、その通りで、我々のメインの仕事はお客様のアイデアをうまく取り上げることです。よって、必要最低限の会話だけでなく、雑談も積極的に行い、信頼関係の構築の先にアイデアがより広がるものと意識して接しています。
そして、お客様の発明品をより普及させるためのテクニックを加えることも私たちの仕事です。
たとえば“A”という発明が非常に素晴らしいものであっても、それを真似しようとする側からすれば、もう少し品質が低くていいという場合があります。
そこで、特許出願をする際には、模倣品対策の観点から「1つパーツを外した」製品についても権利範囲に含めるようにします。こういったアドバイスを開発者とすることが重要になってくるのですが、やはりそこにもコミュニケーションは欠かせません。
また、幣所の打ち合わせ室ではお客様の面白い特許製品を並べて、屋外からも見えるようにしています。テレビのロケ隊が興味を持って撮影に来られたり、お客様が別のお客様の製品を見て刺激を受けたりといったことがあるからです。
ちょっとした取り組みではありますが、お客様の発明品がさらなる展開を生めるよう意識している部分ではあります。

現在は、私自身が某テレビ局の顧問を務めていることもあり、メディア関係や、エンタメ関係、アーティスト関連の依頼が多く、有名な商標登録や管理を数多く行っています。
特許については1つ1つの発明を大事にする中小企業のお客様を中心にご依頼頂いております。
このようにお客様はさまざまいらっしゃるので、今後は事業の拡大というよりは、既存のお客様の事業が成功することにフォーカスし、事務所一丸となって貢献していきたいと思っています。
お客様の製品が大ヒットしたり、メディアに取り上げられたりするのを見ることが一番の喜びです。

若者へのメッセージ

「発明」と聞くと、皆さんは「大発明」をイメージされるかと思いますが、本当に小さな発明でもヒット商品になる事例は数多くあります。
いずれも発明の根底にあるのは「小さな課題の解決」です。
しかし、実際は、「こんなものが世の中にあったら便利だろうな」と思っても、その課題に目をつぶり、すぐに「まあいいか」となってしまいがちです。
でも、そうしていると、「課題」がまわりから逃げていきます。「別にいいや」で生活をしていくと、課題にすら気付かなくなるということです。
だから、小さな課題でも、逃げずに少しずつ解決していく。解決できなくても考えるだけでもいいです。小さな課題に直面し、考え、解決をしていけば、それがやがて、世の中を画期的に便利にするアイデアが生まれるのではないでしょうか。
小さな課題を乗り越えることこそが、発明やアイデアの根幹であることをぜひ覚えておいてください。