サンド株式会社代表取締役社長

岩本紳吾

Shingo Iwamoto

失意の時に落胆するな、得意の時に油断するな、常に一歩前進

岩本紳吾

略歴

東京都出身。
1983年 明治大学農学部卒業後、山之内製薬株式会社(現・アステラス製薬株式会社)に入社。以来、36年以上にわたり、製薬企業の戦略・販売、営業またマーケティングなどの分野で幅広い経験を有する。
2016年に長期収載品の製造販売を行うアスペンジャパン株式会社 代表取締役社長に就任。
2020年に独サンドのアスペンの日本事業買収に伴い、サンド株式会社 代表取締役社長に就任。

現在の仕事についた経緯

中学から大学を卒業するまで、ずっとバレーボールに打ち込んでいました。
学生の頃は、なりたい職業が特には決まっていなかったんです。母が看護師をしておりまして、その母から「これから製薬会社っていいんじゃない?」という助言がありました。
四季報で製薬会社を調べてみたところ、当時は武田薬品工業株式会社が業界1位でしたが、業界1位より、山之内製薬株式会社に惹かれました。面接を受けて連絡がくるまで、他の会社は受けずに待っていました。
元気の良さを買っていただけたのでしょう、結果は採用でした。それが製薬業界に入った第一歩です。
入社当時、MR(医薬情報担当者)としてスタートしました。新人の頃は、製品のプロモーション活動では、とても苦労しました。
先輩や仲間に助けられて、なんとか最初の2年間を乗り越えた後、東京慈恵会医科大学附属病院を5年間担当し、その後、東京女子医科大学病院を11年間担当しました。非常に大きな大学病院を長い間、担当させていただき、実りの多いMR人生だったと思います。
その間、多くの著名な医師の先生方との出会いにも恵まれ、ご懇意にお話をする機会をいただき、営業活動を通してさまざまなことを学び、貴重な経験をさせていただきました。

仕事へのこだわり

仕事へのこだわりは、「ナンバーワンになる」ことです。
MRの評価は売上げです。十数年間のMR生活では、担当している競合他社の中で、売上ナンバーワンにこだわり続けた結果、達成することができました。
一方で、社内の評価や競争には全く興味がなくて、他社メーカーとの競争に勝つことを常に意識していました。社内よりも、社会での競争に勝ちたいというこだわりの方が強かったですね。
大きな病院を担当させていただいたので、自然とそういうマインドになったのだと思います。時代のせいもあるでしょうが、当時は、今ではマネできないほどパワフルに目的達成に向け取り組んでいましたね。

若者へのメッセージ

仕事をしていると、「これは無駄な仕事だな」と思うような業務を任されることもあると思います。
私自身もそのような経験を何度もしてきました。
当時の上司から「これからの営業は、外資系製薬メーカーと競争しないといけないので、日本だけでなく海外も経験した方が良い」と言われ、フィリピンに駐在しました。
フィリピンでは現地法人の社長として赴任しましたが、日本人は私一人でした。社長ですので、財務やサプライチェーンなど幅広い業務について、現地の部長と話さなくてはいけませんが、これまで営業一筋でしたので、当初は理解できませんでした。
「なぜ今、こんな仕事をしているんだろう?」と疑問に感じたものでした。帰国後も、営業ではなくメディカルアフェアーズに携わりましたが、どんな仕事でも、とにかく一生懸命に取り組みました。
振り返ってみると、こうした経験が今の自分に本当に役立っています。
自分の得意分野を極めることは重要ですが、むしろ、弱点を少なくするためには、業務に役立たない、直結しないと思ったことにも全力で取り組むことが大事です。
好きな言葉の一つに「失意の時に落胆するな、得意の時に油断するな、常に一歩前進」があります。
若い人たちが、今の仕事をつまらない、辛いと感じることもあるでしょう。そのような仕事こそ、前向きにチャレンジしてほしいと思います。
いつか自分がリーダーになったときに、「やってきて良かった」と思う時がくるはずです。