株式会社アトスメディカルジャパン代表取締役社長

板垣崇稔

Takatoshi “Kart” Itagaki

Think Deeply, Act Quickly

板垣崇稔

略歴

宮城県出身。
携帯通信事業者の新規事業開発や国際投資、医療機器メーカーの事業企画に携わった後、2013年に、声帯を含む喉頭を全摘出された患者様が失った声や鼻の機能を回復・改善させる医療機器を製造販売するスウェーデン企業「アトスメディカル」の日本法人設立と同時に代表取締役社長に就任。
米国エモリー大学ゴイズエタ経営大学院卒。

現在の仕事についた経緯

喉のがんで失った声を取り戻す「シャント発声法」の存在と、シャント発声に必要な医療機器を開発しているスウェーデン企業が日本法人設立の準備をしていることを知ったのは、2012年のことです。
当時、喉の進行がんを患った方は命と引き換えに声を諦めていらっしゃる、と思い込んでいた私は、シャント発声で話される方の自然なお声を聞き、大きな衝撃と感銘を受けました。
ところが、ネットで調べてみると、日本では、保険適用の問題のため、喉頭を摘出した方のうちシャント発声でお話している方は僅か3%にとどまっていたのです。
中には、シャント発声法の存在を知らないまま、筆談で過ごしている方もおられるとのこと。ヨーロッパの多くの国々では9割以上の方がシャント発声を選択しているのに比べて、あまりにも認知度が低く、普及が遅れていました。

まず、シャント発声法という選択肢があることを、喉の手術を受けられる全ての方に知っていただかなければならない。
そして、普及の足かせとなっている保険の問題について何とか解決しなければならない。
私は、シャント発声を知ったその日から、アトスメディカルの一員として何ができるか・何をするべきかを考え始めていました。

仕事へのこだわり

現職では、「全ての喉頭摘出患者様にアトスメディカルという会社があることを知っていただき、製品やサービスを真心を込めてご提供することを通じて、患者様がよりよい生活を送られることのお手伝いをする」ことを企業ミッションとして掲げています。
この使命を全うするために日々拘っているのは、「Think Deeply, Act Quickly」。
がんを患った方にとって、術後の1日1日はとても貴重です。当社の意思決定が不十分な議論のもとでなされたら、多くの医療従事者様や患者様にご迷惑をお掛けすることになります。
一方で、決定事項を1日でも早く導入し、速やかに患者様のお役に立てるよう努めなければなりません。この2つのバランスを適切に保ち、患者様のより良い「新たな日常」にむけてベストを尽くすべく、常に同僚と脳に汗をかきながら思考し、行動しています。

若者へのメッセージ

「身近なロールモデルを真似ることから始める」
新社会人としての最初の数年間、私は恥ずかしながら確たる夢や目標もなく、学生時代の延長のような日々をただ何となく過ごしていました。
26歳の時に本社に転勤となり、久しぶりに会った同期生の目覚ましい活躍ぶりを目の当たりにして、ようやくこのままではダメだと気付きましたが、何から変えていけばよいのか分かりません。取りあえず優秀な同僚に付きまとって(笑)生活習慣を真似たり、毎日ランチに誘って仕事に対する考え方などを教わり取り入れるところから始めました。
そして、仕事に対する意味合いや目的を自分なりに考え、目の前の仕事を単純にこなすのではなく、必ずアウトプットには責任を持ち、自分の言葉で100%説明できるようにすることを心がけるようにしました。
すると、それまで他人事のように聞き流していた上司や同僚からのフィードバックがとてもありがたいものに感じられるようになり、もっとスキルを磨きたい意欲が湧いてきました。
そうやって少しずつビジネスパーソンとしての自分なりの方向性や型を見出し、キャリアの歯車が噛み合い始めたように思います。
これから活躍される皆さんの参考となれば嬉しく思います。