スタンダードトランザクション株式会社代表取締役

井本 勝

Masaru Imoto

不可能への挑戦

井本 勝

略歴

カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校卒業(会計学)。小学生の時にビジネスで世界展開を夢描き、学ぶために中学卒業後に渡米。高校生の時から始めた為替トレーディングが功を奏し、大学在学中にFXCMサンフランシスコ支社で働く。その後、シティグループ証券にて、国内外株式デリバティブやデルタ1商品を担当し、大手銀行や投信会社、保険会社の流動性供給を支援。起業後、外資系VCのビジネスコンテストでの優勝や技術開発の評価、国際特許取得などを受け、シンガポールの雑誌にて「2020年で最も影響を与えた日本人起業家TOP20」に選出。

現在の仕事についた経緯

大本を辿ると、小学生の時に観たドラマや地元の環境による影響まで遡ります。その時に「世の中の為になるビジネスで、日本と世界の掛橋になりたい」と夢を見たのがきっかけです。
ただ、具体的な方法が閃いた瞬間は、2015年にDAOと出会ったことでした。
当初、ブロックチェーンについては非常に懐疑的でした。ただ、金融の民主化や、権利と権限の信用なき透明性を目指したDAOは、人類を歴史的に大きく変える力を秘めていると私は衝撃を受けました。
例えば、直接民主主義なのに独裁国家のようなスピード感がある運営を可能とします。従来では不可能だと思われたことが可能になってくる時代がきたのです。
金融はもちろん、寄附や社会インフラ、SDGsや生活水準の向上にも活用できると思い、起業して今の会社を始めました。

仕事へのこだわり

大きく3つのことを意識してきました。
1つ目に、常に本質は何かを考え、その精度を上げるよう努力をする。
2つ目に、人の為という信念を大切にし、人と真摯に向き合う。
3つ目に、ものごとの矛盾を愛する。
本質とは、環境や周囲の意見によって左右されない絶対的な価値だと考えています。ただし、本質を理解したと思った時、それが深い理解なのか、または大きな勘違いなのかの区別は非常に難しい。その際、歴史や人々の経験から共通点や不変的な価値を参考にする答えに近づく可能性が高くなると考えています。ひとつのことを理解するのに非常に時間が掛かりますが、理解したあとは環境が大きく変わっても冷静でいられます。
人に対して真摯に向き合い、人の為になることをし続けることは長期的に自分も他人も幸せすると信じています。一方、人の為になることは短期的な成果や利益に繋がりづらいこともよくあります。さらに、妥協すると短期的に成功しそうな誘惑も多くあるように感じます。ここでブレないように信念を保ち続けることが非常に難しい。ただ、これは大切なことだと信じています。
人生の中で、多くの矛盾に出会います。もし、すべての事柄においての真実を理解し、共有できるのであれば、このようなことに悩まされることはないと思います。現実では、自分の情報不足や誤解、意識レベル、立場などで見えることは異なります。タイミングで変化もします。事実や証拠の多くは、人間が観察した結果から生まれたもので、真実を捉えていないことがあります。言語そのものもそうです。つまり、もし真実がひとつだとしても、言語的な表現として矛盾しているように思えることは多いと思います。ただ、それを矛盾として捉えず、真の意味合いとして捉えられるよう意識と努力をしています。

若者へのメッセージ

どんな時代でも、世界は可能性で満ち溢れています。
その中で、何かを大切にする気持ちを忘れず、人生を思いっきり楽しんで欲しい。もし自分の人生にゆとりがある時は、人のために何ができるかを考え、それを実行して欲しいと思います。
過去を振り返ると、経済危機や災難、戦争など「100年に1度の危機」と呼ばれて世の中を震撼させる出来事は、分野が違えど過去100年間で何度も起きています。直近では、6年ごとにそんな「100年に1度の危機」が起きています。
ただそれらの出来事が起きても、春には桜が咲き、夏には空は青く輝き、秋には山の風景に色合いが増え、冬には衾雪で純白の情景が現れます。自分の生活や将来が不安だからといって、大切なことや長期的なことを忘れてはいけません。
毎日を一生懸命に生きているからこそ、目の前のことに囚われてしまうこともあるでしょう。ただそれでも、人徳だったり、友人関係だったり、信念だったり、時間を超えて大切にしないといけないものを忘れてはいけません。
何かを大切にする心構えを忘れず、立ち上がる意志があれば、どんな時代でもきっと光はあり、あなたの可能性は無限大なのだと伝えたいです。