株式会社ニィニ 取締役・デザイナー

保坂郁美

Ikumi Hosaka

全力で生き抜く

保坂郁美

略歴

現代アーティストとして陶芸家を目指し、海外コンペディション、台湾陶芸展入賞。韓国陶芸展、最年少入選。
2004年、京都造形芸術大学、芸術学部卒業。
その後、母が始めたアパレルメーカー株式会社ニィニに入社。裁断1年、パターンアシスタント2年、販売2年を経験。現在は企画、デザイン担当。2005年から取締役として経営に参画。
趣味で始めたフルマラソンでは、つくばマラソン大会など、出場の大会全てで完走。
それをきっかけに、地元綿織物双子織を使ったスポーツウェアを開発。去年は蕨市のふるさと納税返礼品、今年は蕨ブランド品に認定。2020年埼玉県主催SAITAMA Smile Women ピッチ2020で最優秀賞受賞。

現在の仕事についた経緯

物心つく頃からミシンを踏む母の後ろ姿を見て育ち、アパレルメーカーを立ち上げ持続させる忍耐強さ、特に資金繰りの大変さを子供の頃から目の当たりにし、自分には到底出来ない仕事と思って過ごしていました。
20代の頃は強い想いで作家活動に奮闘、その間も母の仕事が忙しくなると頻繫に手伝わされ、時には創作活動を止めるほどで、夢と現実の狭間で葛藤していました。
しかしある時、創作する上でも、母の仕事を経験することこそ、真の創作スタイルが見えると確信し、この世界に28歳で飛び込みます。何度もくじけそうになりましたが、今は『捨てないアパレル』を目指し、想い描き続ける世界を具現化するべく日々奮闘しています。

仕事へのこだわり

ニィニは今年で創業38年、縫製工場としてスタート、母が始めたアパレルメーカーになります。
当初から縫製仕様の難しい有名ブランドも扱うなど技術を高めて来ました。
17年前、一棟の中で企画、デザイン、パターン、縫製を一貫して行える環境を活かして、全てセミオーダー対応のオリジナルブランド『elevemumu~エルベムム~』を立ち上げます。世界中に注目されるトップブランドを目指すのではなく、隣の奥様に喜んでもらえるような、身近な方にこそ洋服で幸せを届けられたらと、お客様一人一人にこだわった丁寧な洋服提案をしています。

また7年前よりお客様の声がきっかけで、今までやったこともない着物、毛皮、洋服のリメイク事業が始まりました。当時は、伝統ある着物にハサミを入れることに非常に抵抗があり、丁重にお断りしていましたが、ある時気が付きます。「着物は着物でなく、毛皮は毛皮でなく、洋服は洋服でない。その方にとってみたら、想い出そのものである。」と。そこから一念発起し、ニィニチーム一丸となってリメイク事業に本気で取り組んでいきました。

またそんな中、世間ではファストファッションの大量廃棄が社会問題となり、ニィニももっと意識的に『捨てないアパレル』を目指そうと思うようになりました。作っている人間は話せなくても話していかなくてはいけないのではないかと考え、2018年に初の連続シンポジウム『未来を選び取る消費』を開催、2019年に第2回目のシンポジウムをお寺で開催、初の着物リメイクファッションショー開催、SDGs12番目の項目「つくる責任、つかう責任」の大切さを発信しました。またものづくりを次世代に繋いで行くべく、地元小学校課外授業でも積極的に発信。2020年、埼玉県主催ビジネスコンテストSAITAMA Smile Women ピッチ2020、テーマ「捨てないアパレルを浸透させるセミ・オーダーとリメイク事業」として最優秀賞を受賞しました。これからも「捨てないアパレル」を浸透させるべく邁進していきます。

若者へのメッセージ

唯一無二の皆様へ。
もし、今夢や目標がおありで、それが仮に今どうしても出来ないと行き詰ってしまった時、がっかりしないで是非諦めずに周りの人にたくさんお話してみてください。それも楽しそうに。人に話すのにお金はかかりません。何より話続けていくと自分のしたいことがより明確に、時にはひらめきにも繋がります。
そんな唯一無二の皆様の一生懸命な姿に、いつしか人が人を繋ぎ、最後に必ず運命の人に会うことができます。でもそれは最後まであきらめずに、辛抱強く前に進み続けた細くて長い道の先にあります。これは、特別な人だけに起こるミラクルなことでも何でもありません。私自身がずっとそうして歩んできた道です。
まだまだ私も道半ばです。いろいろな方のご縁を介して、いつかどこかで唯一無二の皆様とお会いし、お互いの夢や目標を思い、切り語らい繋ぐべく人に繋ぐことが出来たら楽しいですね。考えるだけでワクワクします。そんな日が来ることを楽しみに、お互い精一杯挑戦し続けましょう。