株式会社Ashirase 代表取締役

千野 歩

Wataru Chino

松明は自分の手で

千野 歩

略歴

青山学院大学理工学部卒業。新卒で本田技術研究所に入社、ハイブリッド車のパワートレイン制御や自動運転システムの研究開発に従事。
その後、2021年4月にHondaからのスピンアウトという形で株式会社Ashiraseを創業。
現在は視覚障がい者向けの歩行ナビゲーションシステムの開発を進めている。

現在の仕事についた経緯

3年前、妻の祖母が川に落ちて亡くなるという事故がありました。今までモビリティ業界に従事してきましたが、この事故をきっかけに、歩くこともモビリティなのではないかと思いました。そのモビリティで苦しんでいる人を助けるプロダクトを作りたいと活動をはじめました。
その後、本業の傍ら、メンバーを集めつつ活動をはじめ、Hondaの協力も得ることができ、事業をブラッシュアップしていきました。そしてより事業を加速させ、早くに価値を視覚障がい者の方に届けるため、スピンアウトという形で創業しました。

仕事へのこだわり

Hondaの新人時代には、出来る先輩が多く、心が折れそうになった時もありました。しかし、プライドを捨て、知ったかぶりをせず、わからないことはわからないと言うことで、周囲の協力も得ることが出来ましたし、足りない部分を明確にすることができ、次第に自分の良さも出せるようになりました。

もちろん基礎能力は大切ですが、世の中で周知の内容を全て0から考える必要はないと思い、「自分で深く考えた方がいい」ものと「他人に聞いた方が早い」という技術や内容を意識することで、成長と効率をうまくコントロール出来たと思います。

Ashiraseでは、視覚障がい者向けのプロダクトを開発していますが、自分自身が晴眼なので、しっかりと視覚障がい者と対話することで課題を特定・理解することを意識しています。また、晴眼者としての認知バイアスに囚われないように心がけています。

全く新しいプロダクトを開発しているため、中々うまくいかないことも多いですし、技術的なハードルも多く存在します。当然ではあるのですが、出来ない理由を並べるのではなく、どうやったら出来るようになるかという姿勢を常に持ち続けるようにチームでも日々意識しています。

若者へのメッセージ

私はサラリーマンとして開発に従事し、30代半ばで独立しました。もっと新規事業の開発や独立することに対して、若くから意識を向けて取り組めば良かったと思うことは多々あるのですが、この歳で創業することに対して、全く気にしていません。
それは現在の仕事についても、今までの研究開発の経験が多く活きているからです。事実、シリコンバレーなどでは、インテルなどで30年近く働いた人が、50代・60代で初めて創業することも多いと聞きました。
大学から創業するのも、遅く創業するのも、サラリーマンとして生き抜くのも、色々な道があると思うので、自分のやりたいことや興味ある事と向き合いながらキャリアを選んでいくのがいいのではないかと思います。